2028年データセンターサービス市場,5兆954億円

富士キメラ総研は,生成AIの基盤となる高発熱なGPUを搭載するサーバーの採用増加に伴い,冷却能力の高いデータセンターの利用が広がるなど,新用途の拡充が注目されるデータセンターに関連する国内市場を調査し,その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2024年版 市場編/ベンダー戦略編」にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,市場は2023年から2028年にかけて年平均成長率6.8%で推移し,ITサービスの中でも高い伸びが期待される。ホスティングは縮小するが,IaaS/PaaSやSaaS/DaaS(その他に含まれる)などのクラウドサービスの伸びがけん引するという。

特に業務のDXを目的としたITシステムへの投資が進む中,その基盤としてクラウドサービスを利用するケースが増加している。また,AI活用の進展に伴い,GPUサーバー向けハウジングなどの伸びも期待される。

IaaS/PaaSは,メガクラウドサービスを中心に伸びが続くとみる。新規システム基盤としての需要だけでなく,既存システムに機能拡張性や柔軟性を持たせるためのクラウド環境への移行需要や,オンプレミスとのハイブリッド環境を再構築する需要が増えている。

ハウジングはファシリティとインフラ運用の基本サービスは堅調である。安全にクラウドサービスを利用するため,クラウドサービスとの閉域接続を目的としたネットワークラックの設置需要が増加している。

また,ISP事業者などが,Webコンテンツやクラウドサービスとの接続帯域量を増やすことを目的に,ネットワークラックを設置するケースも増えている。インフラ/ミドルウェア/アプリケーションまでの運用とファシリティを提供するアウトソーシングサービスは,クラウドサービスへの移行が進んでいるため,需要は減少しているという。

共同利用は,主に金融業(銀行/証券など)や公共団体向けの特定のアプリケーション(勘定系システムなど)を提供するサービスである。勘定系システムの共同利用を行なう銀行や信用金庫/信用組合向けは,各機関の統廃合により減少しているが,証券業界向けは新NISA関連サービスの拡充,AI活用へ向けた投資などにより,堅調な伸びが期待される。

走行安全系は,ADASなどの搭載が急速に進んでいる。今後も自動車生産台数の伸びに伴うシステム需要の増加,また,高単価な自動運転システムの搭載が増えることなどから,堅調な伸びと予想する。

ホスティングは,クラウドサービスへの移行が進んでいることから,縮小が続くとみる。ホスティングサービスを提供する事業者が,ユーザーにクラウドサービスへの移行を提案するケースも多い。ただし,共有型は個人やSOHOなどの根強い需要がみられるという。

通信回線サービスは,ハイパースケールデータセンターの開設増加に伴い,ユーザー拠点向けデータセンター接続サービスやデータセンター間接続サービスの利用が増加しているため,伸びが続いている。

その他は,SaaS/DaaSが中心であり,法改正や顧客行動の変化,働き方の多様化などを受けて,柔軟性/可変性の高いサービスの需要が高まっており,今後も伸びると予想する。

大手データセンター事業者やユーザー企業の多くが拠点を持つ関東地域が6割以上を占める。今後,新規で開設されるデータセンターの約8割がメガクラウドベンダーの利用を前提としたハイパースケールデータセンターとなるとみており,その開設エリアとしては,千葉県印西市や東京都西部,川崎市,相模原市,埼玉県の一部を含む関東,大阪府,奈良県,京都府を主とした関西に集中している。

一方で,その他地域でも新たなデータセンターの開発が今後進み,北海道では2024年以降に3件以上のデータセンターの新設計画があるほか,滋賀県や広島県,和歌山県などで開設されるとしている。

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