日立ハイテクは,パターンなしウエハー表面および裏面の異物や欠陥を検査する「LS9300AD」を発売すると発表した(ニュースリリース)。
パターンなしウエハー表面および裏面検査は,ウエハー出荷・受け入れ時の品質保証やさまざまな半導体デバイス製造工程の異物管理などに適用されてきた。
ウエハーメーカーにおいては,ウエハー製造の過程で発生する欠陥や異物を検査する品質管理に活用されている。昨今では,半導体デバイスの微細化・複雑化に伴い,半導体デバイスの製造工程において歩留まりに影響を与える欠陥・異物のサイズも微小になり,ウエハー表面・裏面に存在する低アスペクトな微小欠陥を含めたあらゆるタイプの欠陥管理のニーズが高まっている。
また,社会環境の変化に応じて用途や使用量が拡大し,半導体生産量の増加が予想される中,検査コスト抑制の観点からも,高感度かつ高スループットな検査装置が求められている。
新製品は,従来の暗視野式レーザー散乱に加え,新技術であるDIC光学系を搭載することにより,高感度・高スループット検査と低アスペクトな微小欠陥検出の両立を実現した。
DIC光学系は,暗視野用レーザーをウエハー表面に照射しながら,DIC用レーザーからも分離した2光線をウエハー表面の異なる2点に照射する。DIC用レーザーから照射した2点において,ウエハー表面の高さに相違がある場合,そこから生じる微分干渉信号の位相差より,高コントラストなウエハー表面の凹凸画像を形成する。
これにより,従来検出が難しかったウエハー表面に存在する低アスペクト微小欠陥の高さ,面積,位置情報などが検出可能だとしている。また,検査時のウエハー固定方法やステージ機構は従来製品に引き続きウエハーエッジグリップ方式と回転ステージを搭載し,高感度・高スループットなウエハー両面検査を実現するという。
さらに,DIC光学系の搭載に伴い,暗視野式レーザー散乱光学系とDIC光学系により得られる欠陥情報のデータ処理システムをそれぞれに搭載した。これにより,暗視野式レーザー散乱とDIC光学系の検査マップを同時に出力でき,検査の迅速性を維持しながら,低アスペクトな欠陥データを含む高感度な検査を実現した。
同社は,この製品をはじめとする光学技術を用いたウエハー検査装置や電子線技術を用いた測長SEM(CD-SEM)などの製品を通して,ユーザーの半導体製造プロセスにおける加工・計測・検査工程での多様なニーズに対応していくとしている。