富士経済は,塗料・コーティングや粘・接着剤,インキ,また,半導体や電子基板などの原材料として,環境に配慮した製品や高機能製品の開発が進められている高機能液状樹脂の世界市場を調査し,その結果を「高機能液状樹脂製品関連市場の現状と将来展望 2023」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査では,電材用樹脂7品目,機能性樹脂11品目,石油樹脂5品目,水系・天然樹脂6品目の計29品目の樹脂に加え,樹脂の物性を変化させる硬化剤4品目,添加剤5品目の市場を調査・分析し,将来を展望した。
今回の調査で注目したフォトレジスト用樹脂は,半導体デバイス,液晶,有機ELの回路形成時に用いられているフォトレジストの主成分となる樹脂とゴムを対象とした。
半導体向けとディスプレー向けに分けられ,金額ベースでは半導体向けの比率が高い。フォトレジストの需要が堅調であることや,先端ラインでの露光工程の増加などから,半導体向けが市場をけん引しているという。
今後も,通信量の増加や自動車の自動運転化などで半導体需要の大幅な増加が予想され,2027年の市場は,350百万ドルと予測する。
フォトレジストの種類ごとに使用される樹脂が異なり,ディスプレー向けとg線・i線用ではフェノール樹脂,KrF用とEUV用ではスチレン樹脂,ArF用ではアクリル樹脂が主流であるという。
数量ベースではフェノール樹脂が多い。スチレン樹脂はKrFでの厚膜塗布による樹脂配合率の上昇やEUVの採用の広がりなどから増加していくとみる。また,アクリル樹脂は半導体需要の拡大とともに増加していくが,先端ラインでのArFからEUVへの移行により増加ペースは鈍化するとみている。