矢野経済研究所は,国内のZEB市場を調査し,要素技術の動向,参入企業動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。
政府による「2050年カーボンニュートラル宣言」とそれを受けた脱炭素経営への進展や,2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」において,「2030年度以降の新築建築物へのZEB(ZEH)水準の省エネルギー性能確保」,「省エネルギー基準の段階的な引き上げの実施」が明記されるなどの動きがあったことで,近年は建築主の環境意識が一層向上している。
一方,オフィスビル等を供給するデベロッパー各社においても,大手では自社の開発物件について2030年度までにすべてをZEB化する方針を打ち出しており,今後はZEB設計が基本との認識が広がりつつある。
また,ZEB Ready,ZEB Orientedについては,非ZEB仕様の建築物と比較してイニシャルコストの増加分が低く抑えられるようになってきているという。
2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現するとした政府目標などを踏まえ,2030年度のZEB市場規模は12兆300億円まで拡大すると予測する。
現在計画中の新規建築プロジェクトについても,設計の初期段階からZEBとなっているものが目立つことから,市場は右肩上がりでの推移が続く見通しだという。