富士経済は,パワー半導体の急速な需要増加と共に拡大している受託生産(ファウンドリ)関連事業の市場を調査し,その結果を「パワーデバイス市場におけるファウンドリ・受託加工ビジネスの最新動向」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査では,パワー半導体における受託生産関連事業の展開や直近の設備投資状況を把握し,パワー半導体の需要増加に伴う受託生産の活用動向を分析したほか,国内外受託生産・受託加工メーカー14社の企業事例を捉えている。
それによると,2022年のパワー半導体における受託生産関連事業の市場規模は,約1,000億円となった。近年は生産コストの削減や供給の安定性確保を目的に,大手メーカーがウエハーメーカーを買収するなど垂直統合型の生産形態の整備が進められている。
一方,旺盛な需要を背景にファブレスメーカーや,自社工場の生産能力拡大を躊躇する垂直統合型パワー半導体メーカーから,生産を外部の受託生産メーカーに委託する事例も増えているという。
受託生産メーカーは,設備投資によるシリコンパワー半導体の生産能力増強を積極的に進めているほか,SiCやGaNなどの化合物系パワー半導体の受託生産を行なうなど,事業拡大に向けた取り組みが活発化している。
また,メモリやロジックなどの半導体は12インチ化が先行している影響で,既存の8インチラインをパワー半導体の受託生産に補填する動きもみられるといい,今後,外部生産委託がさらに増加する場合,受託生産比率は2030年には約10%まで上昇する可能性があるとしている。