オキサイドは1月13日,イスラエルRaicol Crystals Ltd.の株式を取得し,子会社化すると発表した(ニュースリリース)。買収金額は25.3百万米ドル(約34億円)。
Raicolは,1995年に創業したイスラエルの結晶メーカーであり,「宇宙・防衛」,「美容」,「エネルギー」,「量子」といった幅広い分野で使用される非線形光学結晶と電気光学デバイスの研究,開発,製造,販売を行なっている。
同社の製品(KTP結晶i,RTP結晶ii,LBO結晶iii,BBO結晶ivおよびPPKTP結晶v)は,紫外から中赤外の広い波長範囲でのレーザー学術研究や産業分野において広く利用されているという。
さらに,最先端のフラックス法結晶成長装置,加工装置,品質検査装置,クリーンルーム,コーティング装置を有し,高品質で高信頼性の製品を提供しているほか,豊富な経験とマーケティング力を備えた営業チームを擁し,世界各地域に販路を開拓しているとする。
同社は,昨今の経済安全保障問題やウクライナ問題等の地政学リスクを回避する世界的な趨勢の中でも業績を拡大している。西側諸国ではロシアや中国からの調達を停止する動きが出ているが,その結果,同社の製品への切替需要が急伸しているという。
オキサイドは,光学単結晶とレーザーを基盤技術とし「光計測・新領域」,「半導体」,「ヘルスケア」の3つの事業を展開しているが,両社間には競合する製品が無く,相補的な関係だとする。
今回の子会社化により,「宇宙・防衛」,「美容」,「エネルギー」事業分野へ参入できることとなる。また,Raicolが得意とするフラックス法結晶成長技術にオキサイドの単結晶成長技術を融和させることで,半導体分野等で期待される新材料の製品開発を加速できる。
製品ラインナップが充実することで,ワンストップでの製品提供が可能となる。一例として,「量子」分野でRaicolは,既に世界各地域で多くの顧客を獲得しているが,これにオキサイドの「光計測・新領域」事業における結晶とデバイス化技術を加えることにより,量子分野のユーザーが現時点で求めているほぼ全ての種類のメモリ結晶と波長変換結晶を提供できるようになるという。
さらにRaicolは,欧州や米国を中心とした世界各地域で広い販路と様々な知見や経験を保有しており,両社製品のクロスセルによる効率的な新規顧客開拓と世界的な販売網の強化が見込まれるとしている。