2022年スリープテック市場,前年比133.3%の60億円

矢野経済研究所は,国内の睡眠関連ビジネス市場を調査し,関連する製品およびサービスの動向,参入企業の事業展開,今後の方向性などを明らかにした(ニュースリリース)。

それによると,スリープテックとはSleep(睡眠)とTechnology(技術)を合わせた造語であり,センサーやアプリなどのIT・AIなどの技術を活用し,生体活動データを収集することにより,睡眠状態を分析したうえで,睡眠の改善を目指す装置,システム,サービスのこと。
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睡眠においても,睡眠状態の計測および可視化をベースとして,睡眠の質の評価や,睡眠改善へのアドバイスなどを行うサービスが増加しているという。睡眠状態の計測には,センサーを利用して,体動や呼吸,心拍数,いびき音,体温,寝床内の温度,脳波,筋電などの様々な指標が用いられている。

さらには,IoTとして空調機器や家具,照明器具,オーディオなどと連携させ,光・温度・音の観点から入眠および深睡眠,覚醒を促し,睡眠の質を改善する製品・サービスが登場している。また,近年では,個人向けだけではなく,健康経営を目指す法人向けサービスも参入各社から展開されているという。

ソリューション型の睡眠環境を整えるサービスとして,照明やカーテンを自動で操作し,入眠および覚醒を促進する “光” を観点とするものや,音楽を流すことで,入眠前の心身のリラックス,深睡眠の持続時間を長くする “音” を観点としたもの,“温度“ を観点として,エアコンとマットレスやマット等の寝具に搭載された計測デバイスを連動させることで室温を調整するサービスなどがある。海外のメーカーでは,マットレス内に水を循環させ温度を変えることで,寝床内の温度調節するものも発売されている。

このような睡眠計測をベースとして,睡眠改善および行動変容を促すサービスが展開されているという。これは,スマホアプリを通じて日々の睡眠状態をスコアリングし,そのスコアに合わせてAIや専門家が睡眠に関する知識,生活改善に関するアドバイスを提供するもの。

この他,活動量計を展開する企業では,日中の運動状態のデータも合わせて分析,提案するサービスが提供されている。これらは,サービス開始当初,個人向けサービスとして展開されていたが,近年では企業の健康経営および安全衛生などを支援するサービスとして導入が広がりつつあるという。

スリープテックに関連する,寝具・家電等の製品,アプリ使用料,サービス・システムの利用料などを対象とした市場規模を算出し,2022年のスリープテック市場規模は前年比133.3%の60億円と予測した。スリープテック市場は技術革新の激しい分野であり,数年で大きく進歩する可能性があるとする。

睡眠計測に関しては,専用デバイス型の装着感の進化,スマホやスマートウォッチ,リストバンドに内蔵されるセンサーの小型化がより進むことで,センシングされていることを意識しないレベルのデバイスの登場も近いのではと予測している。

研究開発では,ミリ波を活用した脳波測定する取り組みや,動画像の差分から呼吸をモニタリングするシステムの開発など “非接触” に計測するための技術開発が進む見込みだとしている。

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