電通大,量子ドット太陽電池で最高変換効率達成

電気通信大学の研究グループは,硫化鉛を用いた量子ドット太陽電池を開発し,界面を制御することで硫化鉛量子ドット太陽電池として世界最高性能となる15.45%のエネルギー変換効率を達成した(ニュースリリース)。

次世代の量子ドット太陽電池の材料として,溶液法で作製した硫化鉛コロイド量子ドットが注目されている。硫化鉛コロイド量子ドットはサイズの変化によって光吸収領域を制御でき,さらに高い吸収係数を有することや,多重励起子生成(MEG)が可能といった特長がある。

しかし典型的な硫化鉛量子ドット太陽電池は,硫化鉛量子ドット太陽電池の単一界面のみに対してパッシベーション方法を用いていたため,界面欠陥による無輻射再結合の抑制とバランスのよい電子と正孔の抽出を同時に実現することは困難だった。

そこで研究グループは,量子ドットインク中に適量のホルムアミジンヨウ化水素酸塩を添加することにより,スピンコートで作製した量子ドット膜内の隣接する量子ドットの間にペロブスカイト層を形成した。透過型電子顕微鏡像により,量子ドットの表面にペロブスカイト単分子層が形成され,それによって量子ドットがほぼすべての(200)結晶面に沿って互いに架橋していることが分かった。

その結果,量子ドット膜の欠陥濃度が40%減少するとともに量子ドット膜内の光生成キャリアの拡散距離が1.7倍に増加。量子ドットの光吸収層の厚さが11%増加し,デバイスの変換効率は13%以上になった。これにより,量子ドット表面に単層ペロブスカイトのシェルが簡便に形成され,量子ドット膜のキャリア移動度の増加と量子ドット界面欠陥の低減が確認できた。

次に,電子輸送層/量子ドット界面の保護膜として,厚さ約10nmのPMMA(アクリル樹脂)とフラーレンの誘導体であるPCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル)の混合層を導入し,電子輸送層のダメージを防ぐとともに,界面での欠陥密度を低減するなどの電子輸送層/量子ドット界面のパッシベーションを行なった。

さらに,電子と正孔をバランスを取りながら抽出し,量子ドット/正孔輸送層の界面での欠陥を低減するために,n型の硫化鉛量子ドット層(光吸収層)とp型の硫化鉛量子ドット層(正孔輸送層)の間に,正孔輸送性を持つPMMAと酸化グラフェンの混合膜を導入した。これにより,正孔移動度が著しく向上し,量子ドット/正孔輸送層の界面での正孔の抽出効率が高まり,電子と正孔の輸送と収集のバランスが向上した。

研究グループはこれらの3つの界面エンジニアリングにより,単一接合の硫化鉛量子ドット太陽電池の中での最高値である15.45%の変換効率を達成したとしている。

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