古河電気工業は,C-band帯ラマン増幅器用ポンプレーザーで800mWの高出力化を16W程度の低消費電力で達成した(ニュースリリース)。
5Gの実用化において必要不可欠な中長距離光通信網の通信容量拡大に向けて,伝送速度を従来の100-400Gb/sから,今後800Gb/s,さらには1.6Tb/sへと高速化する技術開発が進んでいる。この高速伝送には,信号受信側のOSNR(Optical Signal to Noise Ratio)の劣化を補うため,ラマン増幅器の高性能化が求められる。
1989年にNTTが半導体励起光源による光増幅器(そのときに使用された光源の光出力は40mW)を世界で初めて発表して以来,同社は20年以上に渡りラマン増幅器のキーコンポーネントであるポンプレーザを製造してきした。これまでにC-band帯において製品として業界最高水準の光出力600mWを実現し,更なる高性能化を目指してきたという。
今回,同社が長年培ってきたInP(Indium Phosphide)半導体チップ技術と光モジュール組立技術により,ラマン増幅器用ポンプレーザーにおいて業界最高水準である800mWの高出力化を達成した。
開発にあたっては,半導体レーザーチップのキャビティ長や活性層構造の最適化による高効率化,さらにポンプレーザーの組立における重要な技術である光ファイバへの高い光結合効率を実現した。この技術を適用して,業界最高水準である光出力700mWのラマン増幅器用ポンプレーザー「FRL1441」シリーズを開発し,8月よりサンプル出荷を開始した。
これにより,更なる高速伝送・容量拡大に伴う長距離伝送でのOSNR改善のほか,既存システムにおいてもポンプレーザーの使用個数の削減(例えば同一波長のポンプレーザーの使用個数を2個から1個に)によるラマン増幅器の小型化やポンプレーザーの省電力化(同社比37%削減)などが期待されるとする。
同社は今後も高性能化に向けた開発を継続し,光出力800mW超の製品化を目指すとしている。