名市大ら,光による効率的な血管弛緩制御剤を開発

名古屋市立大学と大阪大学は,光によって効率的に血管を弛緩させることができる新たな薬剤を開発した(ニュースリリース)。

一酸化窒素(NO: nitric oxide)は排ガスなどにも含まれる窒素酸化物の一つだが,ヒトの体内でつくられ,血管弛緩の機能をもつことが知られている。

ニトログリセリンのようにNOを放出する薬剤は狭心症など,血流が詰まったときの治療薬として用いられている。一方で,NOを放出する分子を薬剤として用いる場合,全身性の低血圧などが問題となってしまうため,NOの活性を時空間的に制御する方法が求められている。

研究グループははこれまで,NOの制御因子として光に着目し,青,緑,赤の様々な色の光によってNOを放出する薬剤(NOドナー)を開発し,血管弛緩を光制御することに成功してきた。

今回,これらのNOドナーの分子構造をわずかに変化させると,光に応答してニトロソニウムイオン(NO+)を放出すること,さらに体内に豊富に存在するアスコルビン酸(ビタミンC)が働くことでNOを非常に効率よく放出する性質を示すことを見出した。

この薬剤を用いると,これまで開発してきた光制御NOドナーよりも速やかな血管弛緩を起こすことがわかった。研究グループは,これらの薬剤について,光を組み合わせた新たな血流障害治療の候補として期待できるとしている。

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