キヤノンは,第8世代ガラス基板(2,200×2,500mmサイズのガラス基板)に対応したFPD(フラットパネルディスプレー)露光装置の新製品として,1.5µm(L/S)の解像力と±0.35µmの重ね合わせ(オーバーレイ)精度を実現した「MPAsp-H1003H」を2022年7月下旬に発売すると発表した(ニュースリリース)。
近年,テレワークやオンライン教育の急速な普及により,ノートPC・タブレットなどのIT機器用ディスプレーの需要が増加している。さらに,電気自動車の普及や自動運転技術の向上による車載用ディスプレーの需要増加が見込まれており,これらのディスプレーは,薄型・軽量化とともに高精細さが求められている。
これまで高精細なディスプレー向けのパネルは,第6世代ガラス基板(1,500×1,850mmサイズのガラス基板)で量産されていたが,1枚のガラス基板からより多くのパネルを製造できる第8世代ガラス基板での量産ニーズが増えているという。
この製品は,65型パネルを一括で露光できる,第8世代ガラス基板向け「MPAsp-H1003T」(2018年10月発売)の投影光学系を継承し,第6世代ガラス基板対応の「MPAsp-E813H」(2014年9月発売)で実績のある,超解像技術を採用することで,1.5µmの高解像力を実現。これにより,IT用ディスプレー向けパネルに求められる高解像力のニーズに応えるとともに,大型ディスプレーで求められるつなぎ目のない65型までのパネル製造も可能。
また,従来から定評のある高速ステージ技術を進化・改良し,プレートステージの性能を向上させたことで,「MPAsp-H1003T」に比べ生産性が約20%向上。さらに,「MPAsp-E813H」で実績のあるアライメント方式と倍率補正機構を組み合わせることで,「MPAsp-H1003T」と比べ約20%向上した重ね合わせ精度±0.35µmを実現した。
さらに,超解像技術を実現する照明モード切替機構と,露光線幅を安定させる露光スリット自動調整(SIC)機構を搭載したことで,多様化する製造プロセスへの対応力を強化するとともに,製造品質の安定化にも貢献するとしている。