富士経済は,車載ディスプレーやフォルダブル端末など新たな動きがみられる各種ディスプレーと構成部材の世界市場を調査し,その結果を「2022 タッチパネル/フレキシブル&車載ディスプレイと構成部材市場の将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,車載ディスプレーはカーナビやカーオーディオだけでなく,走行に関わる表示機器に必須装備となってきており,需要が増加しているという。また,搭載が増加しているHUD(ヘッドアップディスプレー)や電子ミラーの表示デバイスとして自動車1台当たりのディスプレー数が増えているため,市場拡大を予想する。
先進デザインを積極的に取り入れるEVではディスプレーの搭載数が多いケースもあり,今後は,複数の車載ディスプレーを搭載する自動車が増えることで,2021年から2026年までの年平均成長率は4.4%と高い伸びが期待されるという。
車載ディスプレー用構成部材の世界市場は,2022年は自動車の生産台数が回復し,自動車1台当たりのディスプレーの搭載数が増加するとみられるほか,ディスプレーの大型化により部材使用量が増えているため,拡大を予想する。
フロントガラスにナビゲーションやADAS(先端運転支援システム)のアラートなどを表示するAR HUDの開発が進められており,平面鏡の使用枚数の増加や新形状のミラーの投入が予想されるという。これらHUD用ミラーをはじめ,新規部材の採用が増えるため,2026年の市場は2021年比49.1%増の868百万ドルを予測する。
また,ナビゲーション情報に加え,オーディオ情報やヒーターコントロールなど複数の情報を表示する車載インフォテイメント(IVI)システムのディスプレーとしてCID(Center Information Display)の普及が進んでいる。
CIDには,スマートフォンのような操作感が求められており,それを実現するために静電容量式タッチパネルの採用が増えており,2022年の市場は1,964百万ドルを予測する。今後も,CASEやADASの進展に伴う車内の情報化に伴い,CIDの普及がさらに進むことを受けて,市場は拡大すると予想する。
また,タッチパネルモジュールの構造として,現在はガラスセンサーを用いたアウトセルが主流であるものの,LCDインセルは薄型化や工程削減が実現でき,ディスプレーパネルメーカーが販売に注力していることもあり,採用が増加しているという。
非接触操作が可能である赤外線などを利用したタッチセンサーと,静電容量式の非接触タッチパネルについては,現状,赤外線方式の採用が大部分であり,静電容量式は開発段階にある。
2020年と2021年は<新型コロナウイルス感染症の流行により,公共空間などで非接触ニーズが高まったことから,市場は拡大した。空港や商業施設,外食店舗,エレベーターなどで使用されるタッチパネルで導入が進んでおり,2022年も市場は拡大するとみる。
空中ディスプレーと組み合わせるケースも多く,今後は,空中ディスプレーの伸びに伴って市場が拡大するとみる。また,公共空間に加えて,衛生管理に敏感な食品や医薬品業界の製造現場向けの展開が期待されており,2026年の市場は2021年比3.3倍を予測する。
TFT(Thin Film Transistor)基板にプラスチックを用いたアクティブマトリックス駆動方式有機EL(AMOLED)ディスプレーパネルのうち,折り曲げたり丸めたりして使用する製品は,スマートフォンでの採用が中心となっている。
韓国大手スマートフォンメーカーが展開するフォルダブル端末が好調なほか,複数の中国大手スマートフォンメーカーがフォルダブル端末を発売していることから,2022年の市場は前年比56.9%増の2,400百万ドルを予測する。
スマートフォンメーカーは,スマートフォン市場が成熟する中でフォルダブル端末をフラグシップモデルに位置付け,高付加価値化を図っている。パネルメーカーによる量産化も始まっており,今後フォルダブル端末の製品ラインアップが増えるとし,2026年の市場は2021年比5.6倍を予測する。