富士キメラ総研は,データセンタービジネスの国内市場を調査し,その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2022年版 市場編/ベンダー戦略編」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,2021年の市場はIaaS/PaaSやその他がけん引し,前年比12.2%増と堅調な拡大がみられ,2022年も10%以上の伸びを予想する。以降もIaaS/PaaSやその他の順調な伸びに伴い,2021年から2026年の年平均成長率は6.5%とITサービスの中でも高い伸長が期待されるという。
拡大をけん引するIaaS/PaaSとSaaS/DaaSなどを含むその他で、2026年にはデータセンターサービス市場の6割以上を占めると予想する。一方,ホスティングは需要が減少し,ハウジングも低い伸びにとどまるとみている。
ハイパースケールデータセンターの動向では,メガクラウドサービスの需要増加に伴い,その基盤となるハイパースケールデータセンターの設置が拡大しており,総ラック数は2026年には2021年比2倍以上になるとみる。DX化を目的としたITシステムの新規開発は今後も進むため,その基盤となるクラウドサービスのニーズが高まり,ハイパースケールデータセンターの需要も増加するとみている。
開設エリアは,関東(主に千葉・印西や東京西部,川崎)と関西(主に大阪府)に集中しているという。今後は埼玉,京都など近隣地域での開設も増えるとみる。ハイパースケールデータセンターの設置には,アイボール側(ISP/モバイルキャリアなど)までの接続ネットワークやデータセンター間のネットワーク環境の整備が必須。地方ではネットワークを引くための経路が少なく,また,大量の光ファイバーを設置できる太さの管路がないため,設置が難しい状況にあるという。
データセンター用のサーバー,ストレージ,ルーター,スイッチの動向については,サーバーは,データセンター内で利用され,データセンター事業者が自社のハウジングやホスティング,クラウドを提供する際に利用する製品を対象とした。ホスティングやクラウドの基盤となる利用型が好調だという。
システムのクラウド移行の進展に加え,コロナ禍でテレワークが広がり,オンプレミスや紙ベースで運用してきた業務のクラウド利用が増えたことが需要増加に寄与している。一方,ユーザーがサーバーを所有しデータセンターで運用する所有型は需要が一巡したため,数量ベースでは微増にとどまるものの,ラック当たりの消費電力が増えていることを受けてハイスペックサーバーの需要が高まっており,金額ベースでは堅調な伸びを期待する。
ストレージは,データセンター内で利用され,データセンター事業者が自社のハウジングやホスティング,クラウドを提供する際に利用する製品を対象とし,増設用ディスク分も含めた。ハウジングが底堅い需要を獲得していることや,SIベンダーやキャリアなどのクラウドサービス利用が増えていることから,市場は堅調に拡大しているという。
特に,データセンター事業者が自社ホスティングやIaaS/PaaS基盤としてストレージを調達する利用型はクラウド化の進展により大きく伸長しているとする。今後はバックアップ用途としての需要も増えるため,利用型が市場拡大をけん引するとみている。
ルーターは有線の企業向けルーター,スイッチはサーバー間などで利用されるL2/L3スイッチで,それぞれデータセンターで利用される製品を対象とした。ルーター,スイッチともに,通信キャリアやWebコンテンツ事業者がデータセンターへの投資を進めたことで,市場は拡大しているという。
今後もクラウドシフトの進行や新型コロナ流行の影響によるインターネットトラフィックの増加を受けた,データセンターにおけるITインフラの構築需要により,導入が進むとみている。
また,ハイパースケールデータセンターの増加に伴い,広帯域製品の需要が増えており,400Gをはじめとした製品の開発や提供が進むという。また,データセンターネットワークにおけるネットワーク構成が複雑化しているため,構築や運用管理負荷軽減を目的として,ルーターやスイッチのネットワーク運用自動化のニーズが高まっているとしている。