富士キメラ総研は,車載ECUと関連デバイスの世界市場について調査し,その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2022 下巻」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,2021年における自動車1台当たりのECUは平均で29.6個搭載されており,今後搭載数は年々増加し,2035年には46.6個になるとみている。それに伴い,市場は順調に拡大し,2035年には2020年比2.9倍を予測する。今後の伸びが最も期待されるのはxEV系だという。xEVの普及に伴い,インバーターECUや車載充電器ECUなどが伸びをけん引すると予想する。
ECUの搭載数増加に伴い,構成要素となる半導体や回路,基板などの部品の需要が増加しており,市場は堅調な拡大を期待する。2035年の市場は,2020年比2.1倍を予測する。車載ECUの構成要素として,多様なセンサーの採用が増えていることから,センサー市場は堅調な拡大を予想する。環境規制強化に向けた内燃機関の高度化ニーズや,ADASをはじめとした走行安全装置のニーズの高まりにより,普及車にも搭載が進んでいることが追い風となっているという。
車載ECUの中核となる半導体では,市場規模の大きいSoC/FPGAや車載マイコン,メモリー(DRAM/NAND)の伸びが,市場拡大をけん引するとみる。また,電動車の普及に伴い,バッテリー監視ICやSiCモジュールは大幅な需要増加を予想する。
回路部品も電動車の普及に伴い順調な伸びを予想する。特に,高電圧車両の増加により,フィルムコンデンサーや車載リレー(SMR)が大きく伸びるとみる。その他では,ビルドアップ基板や半導体パッケージ基板などは順調に伸びるとみる。ワイヤハーネスは車載機器の増加に伴い短期的には伸びが期待されるが,長期的には車体構成の変化やECUの統合,各種機器のユニット化などにより需要減少を予想する。
センサーの世界市場を見ると,現状,温度センサーやガス濃度センサー,圧力センサーの市場規模が大きいという。今後,xEVの普及や自動運転技術の進展により,多様なセンサーの需要が増えるとして,市場は堅調な拡大を予想する。
そのうちイメージセンサーは,カメラから取り入れた光(映像)を電気信号に変換する半導体素子であり,様々なカメラなどで使用される。2021年のイメージセンサー市場は,2020年の需要減少の反動もあり,前年比20%以上の伸びとなった。今後も自動車1台当たりのカメラ搭載数が増えていくことから,順調な需要増加を予想する。
具体的には,AEBの搭載義務化国の増加やADAS/自動運転車の普及によるセンシングカメラの増加,パーキングシステムなどで利用されるビューイングカメラの増加,電子ミラーや乗員モニタリングカメラ向けの搭載数増加などを挙げている。