光産業技術振興協会は,2021年度の光産業全出荷額と国内生産額の調査結果を発表した。
調査は今回,259社に対してアンケートを行ない,88社からの回答をもとに集計,さらに太陽光発電協会,日本照明工業会,電子情報技術産業協会,カメラ映像機器工業会などの協力も得てまとめたものとしている。
それによると,2020年度の対象となる光・レーザー製品の全出荷額は11兆6,962億円,国内生産額は5兆8,414億円となり,いずれも前年度比でマイナス成長となった。この数値は2021年度より下方修正されたが,起因となったのは太陽光発電分野の下半期におけるパワー半導体供給不足による工期遅れにあるという。
2021年度の出荷額は11兆8,594億円,国内生産額は5兆8,839億円となり,対前年度よりそれぞれプラス成長に転じる見込みとしている。そのけん引役としているのが,情報通信分野とレーザー・光加工分野となっている。
情報通信分野はテレワーク推進におけるトラフィック需要や5G向け投資が堅調で,2021年度の出荷額見込みは5,453億円,国内生産額見込みは4,230億円とそれぞれ2年連続でプラス成長になるとしている。5G向け設備投資は引き続き堅調に推移するとしているが,将来の6G向け投資の時期も注目されている。
レーザー・光加工分野はそのシステムの多くが国内で生産されているが,半導体産業を含め,製造分野が活況を呈していること,さらにEV向け設備投資が活発化していることを背景に出荷額と生産額は伸びている。2021年度の出荷額見込みは7,735億円,生産額見込みは7,457億円となり,対前年度比でそれぞれプラス成長となる。
今回の調査結果では,その他の分野でも多くが2021年度もプラス成長になる見込みで,構成比率の高い入出力分野とディスプレイ・固体照明分野でもプラス成長が見込まれている。入出力分野ではスマートフォンがけん引,一方のディスプレイ・固体照明分野では巣ごもり需要によるテレビの販売台数の伸びが起因しているという。
また,センシング・計測分野も好調で,とりわけ光通信用測定器の出荷額と生産額は2019年度以降,プラス成長が続いている。
2022年度は定性的予測として,全出荷額と全生産額ともに『やや増加』としている。なお,今回の調査結果の詳細は2022年4月20日からパシフィコ横浜で開催される光技術総合展示会OPIEに併設した『2022年度光技術動向・光産業動向セミナー』で語られる予定で,月刊オプトロニクス5月号にも掲載するので参照されたい。