東芝,手のひらサイズLiDARで300m測距に成功

東芝は,距離計測技術「LiDAR」において,投光器のサイズを1/4にする実装技術と計測可能な距離を向上させる投光器制御技術を開発し,手のひらサイズ206cm3(投光器を2台実装)で,世界トップクラスとなる解像度1200×84の画質において,世界最長計測距離300mの達成に成功した(ニュースリリース)。

同社は,2021年に世界最小の350cm3体積で計測距離200m,解像度1200×80の性能を有するLiDARを開発しているが,さらなる計測距離の伸長にはレーザー光をより遠くまで届けることが必要となる。

一方で,JIS規格で定められているアイセーフに準拠しながらレーザー光の強度を増強するには一定の制約がある。強度を上げるには射出幅を大きくする必要があり,投光器のサイズも大きくなることが課題だった。

開発したLiDARの投光器は,モータ制御基板の回路図は従来と同じだが,レイアウトの工夫により基板の面積を60%低減。さらにモータ制御基板が筐体内の各部品の隙間に入るよう高密度にレイアウトしたことで,筐体サイズの小型化に成功した。また,レンズの配置を工夫し光路を折り曲げることで,従来と同じ光路長を確保しつつ,投光器1台の体積を71cm3と小型化した。

レーザー走査はポリゴンミラーで行なう。同社は,レーザー光を複数の投光器から同一方向で同時に射出し,レーザー光を重ね合わせることで,アイセーフに準拠しながらレーザー光の強度を増加させ,計測距離の伸長を実現した。

複数の投光器から同じ方向に同時にレーザー光を射出させるためには,複数の投光器内のポリゴンミラーの回転速度と回転角度を同期させる必要がある。今回,独自のモータ制御技術により,回転角度・回転速度・電流を制御する3重制御ループを開発し,複数ポリゴンミラーの同期のずれ(角度)を0.02度以下に抑えた。

開発した投光器2台を実装した計測装置の性能試験を行ない,アイセーフに準拠したレーザー光で,従来と比べて1.5倍の300m先まで高精度に計測ができることを実証した。

さらに開発した技術は,投光器を複数組み合わせることでLiDARの長距離計測性能や広角性能を容易に向上することができ,長距離計測が求められる道路監視に加えて,広角性能が求められる建物内のAGV自動運転など,適用範囲の拡大が期待できるという。

当社は今後,2023年度の実用化に向けて研究開発を進めると共に,ソリッドステート式LiDAの開発も進めるとしている。

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