凸版印刷,ブロードバンドタワー,テクノハウスは,光ファイバー/IPによる高品質高精細映像の伝送実験を共同で実施し,約7㎞超の長距離区間を経ても品質劣化が知覚できないレベル(ビジュアリーロスレス)で,高品質/高精細映像,低遅延の伝送/表示に成功した(ニュースリリース)。
国内の累計出荷台数が1,000万台を超えた4K対応テレビの普及を受け,4Kコンテンツの新たな活用ニーズも高まることが期待されている。しかし現時点では4Kなどの高精細映像は,データ容量が大きくなり,電波等で伝送するためにデータを圧縮する方向性がとられている。この圧縮方法によっては高精細映像の特徴である臨場感や精緻さが不足してしまうケースがあり,高精細映像活用の課題になっている。
現在,広く提供されている4K衛星放送等のビットレートは約10~20Mb/sが多いのに対し,凸版印刷オリジナル高品質/高精細4K映像コンテンツは,約10倍となる200Mb/sの高ビットレートでの制作を標準とし,非線形的特性によって高精細映像ならではの品質を実現している。一方,その伝送には特殊な機材や実験環境を必要とし,かかる費用も高額となっていた。
今回の検証ではネットワークの広帯域化により,特殊な機材を使用せずに伝送実験を実施。具体的には,HDMIケーブル1系統の出力からダイレクトに光ファイバー/IPへ変換し10Gb/sの光ファイバーを通じて伝送。受信側でHDMIに出力する,SDVoE(Software Defined Video-over-Ethernet)アライアンスが提唱する「ビジュアリーロスレス」品質での伝送と表示を行なった。
実験は,凸版印刷の東京都墨田区の施設と東京都千代田区の施設を,ブロードバンドタワーの東京都千代田区の施設と,丸の内地区全体に光ファイバー網を持つ丸の内ダイレクトアクセスを経由し,ゼロフレームレイテンシー(1ミリ/秒を大幅に縮めた伝送性能)の低遅延,かつ画質劣化のないビジュアリーロスレス品質で伝送し,1.5mmピッチ幅の大型高精細LEDビジョンへのリアルタイム表示に成功した。
実施グループはこの実験を踏まえ,今後更なる距離の延伸や,超低遅延性,インタラクティブ制御やフォトニクスに対応する技術などの開発を進めるとしている。