京大ら,元素の混ざり方を利用し結晶構造を安定化

京都大学,名桜大学,東京都立大学,九州大学,九州工業大学は,元素間に固有の相溶性(固体状態での混ざり方)を駆動力として前例のないZ3型構造の安定化に成功した(ニュースリリース)。

複数の金属元素で構成される合金の化学的・物理的な特性は,その結晶構造に大きく依存することが知られている。

そのため,新しい物性や高機能材料を発見する方法の一つとして,未踏構造の安定化が考えられる。ところが,特定の組成比をもつ二元系合金においてさえ幾何学的に膨大な数の構造を取り得る一方で,実際には安定に合成できる構造はごくわずかしかない。そのため,新しい結晶構造の安定化は極めて挑戦的な課題として考えられてきた。

今回研究グループは,熱力学的にL12相のみ形成可能なFePd3合金に対して,Feとは固溶できないがPdとは固溶可能なInを微量導入することで,Z3型Fe(Pd,In)3構造が安定に形成することを発見した。第一原理計算によると,この構造安定化はInの元素間相溶性が駆動力として働いていることが示唆され,Inと同様の元素間相溶性を有するPbを導入した場合でも,Z3型Fe(Pd,Pb)3構造が形成することも実証した。

さらには,物質の特性を決定するフェルミ準位近傍の電子状態密度がInの有無でほとんど変化せず,Z3型構造の電子状態密度を保持していることも第一原理計算から確認することができ,擬似的にZ3型FePd3合金の特性が発現することが示唆された。

これらの知見は,従来困難とされてきた未踏合金構造の安定化が,元素間相溶性という単純な特性を利用することで達成可能であることを意味しており,研究グループは,今後の未踏材料開発の促進に貢献する成果だとしている。

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