阪大ら,結晶ズレの伝播が音速を超えるとX線で実証

大阪大学,米スタンフォード大学,仏エコール・ポリテクニーク,理化学研究所,高輝度光科学研究センター,米ローレンス・リバモア国立研究所,名古屋大学,量子科学技術研究開発機構,英国原子力公社は,結晶中の転位が物質固有の音速よりも速く伝播しうることを,理化学研究所のX線自由電子レーザー施設「SACLA」においてX線ラジオグラフィ(X-ray radiography)により実証した(ニュースリリース)。

結晶中の転位の伝播速度が,その物質固有の音速を超えるか否かに関する問いについて,これまで数多くの理論・計算による研究が行なわれてきた。発表された論文の多くは,結晶中の転位の伝播速度は横波の音速を超えないと主張しており,転位論の教科書でもしばしば同様の説明が見受けられる。

しかしながら最近の理論および計算機による一部の研究は,転位が音速を超えて伝播する可能性を示唆しており,実験による検証が期待されていた。

研究グループは,ハイパワーレーザーを用いて単結晶ダイヤモンドを高速変形させ,生成した積層欠陥の伸展をX線ラジオグラフィにより直接可視化した。通常は割れやすい材料として分類されるダイヤモンドだが,衝撃波による高速変形中のごく短い時間内では塑性変形をしている。

塑性変形の領域で積層欠陥の端が伸展する速度は,転位の伝播する速度ということになる。この研究では積層欠陥の高速な伸展を直接観察することで,単結晶ダイヤモンド中の転位が横波の音速よりも速く伝播していることを実証できた。

高速で伝播する転位から連続的に新たな波が発生する様子も観察されるなど,複雑な固体の振る舞いについてさらに新しい知見が得られる可能性があり,この研究を実施した実験プラットフォームに期待が寄せられているという。

この研究成果は,高速な変形を受けた結晶の変形ダイナミクスを高精度にモデリングする上で重要。これにより,研究グループは,材料の基礎的な変形メカニズムに関する理解の深化をはじめ,大地震がもたらす破壊の予測や,宇宙空間などの極限環境下で用いられる防護壁の高性能化などへの応用が期待されるとしている。

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