東大,2次元半導体の単層を基板上へ単離

東京大学の研究グループは,溶媒内超音波処理によるサブナノ厚の2次元半導体単層を選択的に単離する手法を見出した(ニュースリリース)。

2次元(2D)半導体は,わずか3原子で形成された単層(約0.7nm厚)であっても半導体としての挙動を示し,省電力・高速動作を可能にする次世代デバイスの有力な材料候補として,年間1,500報を超える研究報告がなされている。

この研究分野が極めて活発である理由の一つに,剥離法と呼ばれる結晶調製方法が挙げられる。接着テープに貼り付けた2D半導体結晶に対して剥離を繰り返して薄くした後,基板上へと転写するとても簡単な方法で,かつ良質な結晶性の極薄膜を得ることができる。

半導体結晶作製のプロでなくとも,最先端の半導体材料を扱うことが可能だが,単層と同時に,99%を占める多量の厚いバルク結晶も基板上に付随して得られてしまう。

実際にデバイスを設計する際には,多量に点在するバルク結晶を避けながら単層結晶を利用する必要があり,不要なバルク結晶の存在はデバイス設計の自由度を大きく低下させていた。そのため,バルク結晶を選択的に除去しつつ,単層だけを基板上へと残す単離手法が望まれていた。

従来,剥離法で転写されたバルク結晶は基板と強く相互作用しているために,選択的に取り除くことは難しいと考えられてきた。そのため,単層を用いた研究では,不要なバルク結晶により,生産性や拡張性に大きな制限が課されている状況が続いていた。

研究グループは,溶媒内で超音波処理を用いることで,わずか1分という短時間で,単層の結晶を単離する手法を提案した。この手法を用いると,MoS2をはじめとした種々の遷移金属カルコゲナイドの結晶に対して,基板上に単離することが可能であることを示した。

なお,なぜバルク結晶が優先的に基板から除かれるのか,という疑問に対して,単層とバルク結晶における面内断裂強度の違いにより説明できることを提案した。

また,単離した単層を用いて,全方向から多数の電極を有するデバイスの作製を行なった。この実験結果は,剥離法によって調製された単層であっても複雑な電極デザインの作成が可能となることを示しているという。

研究グループは,この手法を用いることで,従来では困難であった多数電極を有したデバイスを効率良く作製することを可能とし,高度なデバイスの試作や2D半導体物性の開拓に役立つと期待されるとしている。

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