ニコンソリューションズは,生体深部の高解像な広視野画像を高速に取得できる,高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R MP」を発売する。また,「AX R MP」専用で,視野周辺まで明るい観察が可能な,生物顕微鏡用水浸対物レンズ「CFI75 アポクロマート LWD 20XC W」を同時発売する(ニュースリリース)。
近年,脳科学や免疫学などの研究分野では,生体組織や生体標本を顕微鏡で観察し,急速に変化する脳神経や血流などの生体反応に関する研究が進んでいる。多様な実験に対応し,標本の向きを変えずに,真横や斜めなどからも観察することへの高いニーズがある。これに対しニコンは,赤外線超短パルスレーザーで標本をスキャンし,生体深部の構造を三次元で観察できる高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システムを販売している。
今回,高解像な広視野画像を高速に取得できる,高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R MP」を新たに開発。専用で対物レンズの位置を上下に動かして標本までの高さ調節が可能な多光子共焦点レーザー顕微鏡システム専用顕微鏡「AX-FNGP」「AX-FNSP」や,研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti2-E」と組み合わせて使用する。
視野数22mmの広視野で,高解像な2K×2K画像(2048×2048画素)を取得することができる。高速に画像を取得するレゾナントスキャナーを利用することで,急速に変化する生体反応を視野周辺まで高解像でとらえることが可能。多くの情報を効率的に取得できるという。
「AX-FNGP」と「AX-FNSP」は,「AX R MP」とあわせて用いることで,対物レンズの下部に高さ40cmの空間を確保。広い実験スペース内で生体標本の挙動にともなう反応などを観察することができる。
このうち「AX-FNGP」は,奥行きを必要とする実験に対応した門型支柱,「AX-FNSP」は,横幅が必要な実験向けの単支柱で,観察用途にあわせて選択ができる。実験器具を設置する際の自由度を高め,多様化する実験に柔軟に対応する。
「AX-FNGP」と「AX-FNSP」は,新開発の「対物傾角ホルダー」(別売)を用いることで,対応する対物レンズを垂直や水平に回転させ,角度を調節することが可能。標本の向きを変えずに,さまざまな角度から観察することができる。
また,紫外から近赤外波長域において,色にじみが少なく高解像な対物レンズを豊富に揃え,実験目的に合わせた選択が可能。「AX R MP」に最適な対物レンズと組み合わせることで,標本の表面から深部まで鮮明にとらえることができるとしている。