凸版印刷は,独自に開発し,有用性の検証を進めている空中タッチディスプレーについて視野角の大幅な拡大と空中映像の明瞭度を改善した次世代モデルを開発し,2022年8月竣工予定の複合施設「東京ミッドタウン八重洲」のエレベーターホールに設置されると発表した(ニュースリリース)。
「東京ミッドタウン八重洲」では,ポストコロナ時代のオフィス環境を構築するため,顔認証によるオフィス入退館システムや,専有部入口の自動ドア化などにより,オフィスワーカーが接触行為を一切行なうことなく,ビルのエントランスから執務室まで入館できる導線を構築している。
中でもエレベーターの操作については,これまでボタンを指で物理的に押すことが求められていたが,「東京ミッドタウン八重洲」では,エレベーターのインターフェースとして同社の空中タッチディスプレーを搭載した操作コンソールを,オフィスフロアの全エレベーターホールに設置する。
この空中ディスプレーは,7インチ高輝度高コントラストTFTディスプレーを採用し,表示解像度は800×480(WVGA),外形寸法は285x285x60mm(サンプル機)となっている。
今回,前モデル同様に左右方向各15度ずつの視野角は維持したまま,上下方向を30度ずつに倍増させることで,空中映像視認範囲を200%拡大させた。これにより,エレベーターホールなど実際の活用シーンでは,身長の高い人から子どもまで幅広い層が空中映像を視認できるようになった。
また,独自の新方式光学設計技術により,空中映像の解像感と明瞭度を大幅に改善。これにより,明るい環境での視認性が向上,精細な映像もはっきりと視認でき,利用者がより快適に操作できるという。
さらに,新方式による光学設計を採用したことで光の利用効率が大幅に改善し,消費電力が従来モデルと比べて約50%に低減した。また,これにより機器からの発熱量も低減されるため,放熱経路の確保など組み込み時の設計上の制約が緩和され,設備のデザインの自由度が高まるとしている。
同社はウィズコロナ時代を見据え,オフィスビルを始めとする様々な施設や装置における非接触オペレーションのキーデバイスとして,空中タッチディスプレーの本格普及を推進し,2025年までに年間1万台の提供を目指すという。