京大,太陽電池一体型熱光発電デバイスを開発

京都大学の研究グループは,高温の物体から生じる熱輻射から,黒体限界を超える高密度の光電流を生成することが可能な,熱輻射光源/太陽電池一体型・熱光発電デバイスの開発に成功した(ニュースリリース)。

一般に,物質を高温に加熱すると熱輻射が生じる。例えば,太陽や白熱電球など,加熱された物体が光る現象は全て熱輻射に基づく。このような熱輻射と太陽電池を組み合わせた熱光発電は,エネルギーの有効利用を可能とする発電方式の1つとして,近年注目を集めている。

しかし,熱光発電にはいくつかの重要な課題が存在し,その一つに黒体限界がある。従来の熱光発電システムにおいては,熱輻射を一旦,自由空間(外部空間)へ取り出し,その後太陽電池へ入射するが,自由空間に取り出す際に,光源内で発生した熱輻射パワーを全部取り出すことが出来ない。

そのため,最終的に太陽電池で生成される電力密度(今回,特に光電流密度に着目)が,熱輻射パワーを全て取り出す場合に比べて一桁以上小さくなってしまう。

研究グループは,高温(>1100K)の熱輻射体と,室温に保った太陽電池を透明(高屈折率)基板を介して,光の波長よりも十分小さな距離(<140nm)まで近づけた一体型熱光発電デバイスを開発することで,高温物体の内部で発生した高密度な熱輻射を,自由空間へ取り出すことなく,直接,太陽電池へと取り込むことを可能とした。

このデバイスは,シリコンを材料とした熱輻射光源と,シリコンを材料とした透明(高屈折率)基板を,微小な空隙(140nm未満)を隔てて一体化しており,光源内部で発生した熱輻射を,黒体限界を超えて透明基板側に直接引き出すことができる。

さらに,透明(高屈折率)基板の裏側には太陽電池を一体化したため,透明基板側に引き出された熱輻射は太陽電池までそのまま伝搬し,従来の限界を超える電流密度を生成することが出来るという。

その結果,従来方式に比べて5-10倍の密度の光電流を太陽電池で生成することに成功するとともに,最終的に黒体限界をも超える光電流密度の生成に成功した。

研究所グループは,この成果について,太陽光や各種熱エネルギーを利用した発電システムの大幅な小型化・高出力化・高効率化の第一歩を達成したものであり,将来の脱炭素社会の実現の鍵を担う技術としての展開が期待されるとしている。

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