理研ら,深紫外線によるコロナ不活化の原因を解明

理化学研究所(理研),日本大学,東京大学は,紫外線照射による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化は,ウイルスRNAの損傷が原因であることを初めて明らかにした(ニュースリリース)。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)では「紫外線」を用いた不活化が注目され,222nmや254nmおよび280~310nmの波長の紫外線の有効性が報告されている。しかし,紫外線がSARS-CoV-2を不活化するメカニズムは明らかになっていなかった。

研究グループは,SARS-CoV-2を含む液体培地に30cmの距離から,253.7nmの紫外線を500μW/cm2の放射照度で30秒間照射する実験を行なった。すると,時間依存的な感染性(ウイルス力価)の減少が確認され,30秒間の照射でSARS-CoV-2の感染性が99.99%減少することが分かった。

しかし,このSARS-CoV-2を電子顕微鏡で観察したところ,紫外線の照射前後で形態の変化は全く見られなかった。また,SARS-CoV-2の構造タンパク質であるスパイクタンパク質(Sタンパク質)とヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)の量にも顕著な差異は認められなかった。

また,SARS-CoV-2の持つウイルスRNAの量をqPCR法(定量PCR法)で測定しても顕著な差異は確認されなかった。そこで,ウイルスRNA損傷の計測により適したqPCR法を独自に開発し,紫外線照射前後でのウイルスRNA量を測定したところ,30秒間の紫外線の照射によって,有意なウイルスRNA量の減少(ウイルスゲノムの損傷)が確認されたという。

さらに,ウイルスゲノムの全領域をカバーする6種類のRNA量を測定するqPCR法を開発し,ウイルスRNA量を測定したところ,ウイルスゲノムの全ての領域において、照射時間に依存したウイルスRNA量の減少が見られ,ウイルスRNA量の減少はウイルス力価の減少と非常に高い相関性を示した。

これらの結果から,紫外線照射によるSARS-CoV-2の不活化はウイルスRNAの損傷によるものであり,紫外線はウイルスゲノムの全領域に損傷を与え、速やかに不活化することが分かった。

紫外線はウイルスRNA全体を損傷させることから,今後発生し得る変異株にも有効であると考えられるという。また,他のウイルスにも効果があることが知られているため,今後新たに発生する未知の新興感染症への応用も期待できるとしている。

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