富士キメラ総研は,車載ECUの世界市場を調査し,その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2021 下巻 ECU 関連デバイス編」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,2020年の市場は,新型コロナウイルス感染症流行の影響による自動車生産台数の減少から,前年比17.0%減を見込む。電動自動車の需要が増加したためHV/PHV/EV/FCV系は微増となるものの,他カテゴリーはそれぞれ前年比10~20%の縮小になるとみる。
2021年の市場は,HV/PHV/EV/FCV系が引き続き市場をけん引し,他カテゴリーも市場回復に向かうことによって,前年比11.7%増の8兆2,548億円を予測する。今後は,自動車生産台数の増加に加えて,電装化や電動化,自動運転技術の向上を背景に,HV/PHV/EV/FCV系の大幅な伸びや,スマートセンサー/アクチュエーターの需要増加,また,情報系や走行安全系の堅調な伸びが期待されるという。
2020年の車載ECU構成デバイスの世界市場は,各カテゴリー(センサー,半導体,回路部品,その他)で需要が減少したため,市場は前年比17.7%の縮小を見込む。2021年以降の市場は,自動車生産台数の回復に伴い拡大に向かうとみる。
2030年はすべてのカテゴリーで2019年を上回り,市場は18兆円を超える規模に拡大すると予想する。半導体や回路部品はECUの搭載に伴うマイコンや周辺回路部品の増加によって,今後の大幅な伸びを予想する。
特に,半導体ではIGBT/SiCパワーモジュールやバッテリー監視IC,回路部品では車載リレー(SMRタイプ)やフィルムコンデンサーの伸びが大きいという。センサーはADAS/自動運転システムの高機能化によって自動車1台当たりの搭載数が増えており,今後はセンシングデバイス向けのセンサーICや電動駆動システムで使用される電流・電圧検知用のセンサーICが大きく伸びるとみる。
ドライバーや乗員に情報を伝達するシステムのECU,および車外/車内通信システムで使用されるECUの2020年市場は,自動車生産台数の減少の影響を受け,市場は前年比14.3%
減を見込む。しかし,自動車のコネクテッド化や自動運転化の進展を背景に,外部との通信手段として情報系機器の搭載が増加するため,生産台数の回復により2021年の市場規模は2019年を上回ると予想し,以降も堅調な拡大を期待する。
コネクテッド化の進展に伴いIVIやV2Xなど外部との通信を行なう機器の需要増加が予想され,それらに関連するECUの需要も増えるとみる。また,ADAS/自動運転システムの搭載に伴いドライバーへの情報伝達を行なうHUDをはじめとした表示機器や,ドライバーの状態を検知するドライバーモニタリングシステムの需要増加により,関連するECUの伸長も期待されるという。
センサー/アクチュエーター側にマイコンを実装した基板を搭載し,信号処理機能を持たせたセンサー/アクチュエーターモジュールは,ECU搭載数の増加に伴う搭載スペース確保の課題への対応として,機電一体化やワイヤハーネスの削減による課題解決が進められており需要が高まっているという。
2020年の市場は,前年比10%近い減少となるが,2021年以降は拡大するとみる。ADAS/自動運転システムの高度化を背景にセンサー類の搭載数が急増しており,特にLiDARやレーダーは今後大幅な伸長を予想している。