NHKら,有機ELの電子輸送材料を不要に

NHK放送技術研究所は,世界で初めて電子注入の動作機構を解明するとともに,日本触媒と更なる高性能化が可能な新規電子注入材料を開発した(ニュースリリース)。

NHKこれまでフレキシブルディスプレーの長寿命化・省電力化に向けて、陰極から発光層に電子を注入する電子注入層の材料を開発してきた。

有機ELでは,発光層に電子を注入するため,陰極と発光層の間に存在する約2eVのエネルギー差をゼロにする必要がある。今回,新たに開発した電子注入材料により,陰極や有機材料との化学結合を利用して,エネルギー差をゼロにできることに成功した。

さらに,従来の有機ELにおける電子輸送材料は,電子を輸送する役割よりも,エネルギー差を約1eV減らす役割が大きいことを解明した。これらの発見によって,新規電子注入材料を用いれば,電子輸送材料を必要とせず,発光層に直接電子を注入できることがわかった。

この新規電子注入材料は有機ELの長寿命化,省電力化に寄与できるだけでなく,従来必要とされた電子輸送材料が不要になることで有機ELの構造を簡素化できるという。

NHKでは今後も,巻き取りや折り曲げができる大画面フレキシブルディスプレーの実現を目指し,有機ELの研究開発を進めていくとしている。

その他関連ニュース

  • JDI,新方式によるOLEDディスプレーの進捗を開示 2024年04月17日
  • コニカミノルタ,次世代カラーアナライザーを発売 2024年03月19日
  • カネカ,有機EL照明を東京国立博物館へ寄贈 2024年02月08日
  • 名大ら,有機EL材料の発光効率の増幅機構を発見 2024年02月01日
  • ソニー,没入型空間コンテンツ制作システムを開発 2024年01月10日
  • 群馬大ら,OLEDの特性に直結する分子配向を制御 2023年12月11日
  • 近畿大ら,第3世代円偏光有機発光ダイオードを開発 2023年10月23日
  • 東工大ら,世界最小電圧で光る青色有機ELを開発 2023年09月21日