KDDIら,5G/6G向けファイバ無線実験に成功

KDDI総合研究所,矢崎総業,早稲田大学,情報通信研究機構は,大容量の無線信号を収容局からビル内まで効率よく配信する「光ファイバ無線技術」を開発し,5G最大伝送レートを上回る27Gb/s無線信号のモバイルフロントホール伝送,およびビル内など屋内電波不感地帯向けの中継伝送技術を組み合わせた統合伝送実験に,世界で初めて成功した(ニューリリース)。

ミリ波を活用した5Gや6Gの展開に当たっては,屋内を含む多様な環境に多くのアンテナを設置すること,および収容局~アンテナまでのモバイルフロントホール回線の大容量化が必要となる。

5Gでは,最大レート20G/sの5G無線信号を配信するために必要となるモバイルフロントホール回線の伝送容量は100G/sを上回るとされている。400Gb/sを超える伝送規格は,データセンターやコアネットワーク向けの規格であり,20km程度の伝送距離で回線数も多いモバイルフロントホールに適用可能な規格は,現状50Gb/sが最高速となっている。

今回研究グループは,複数の無線信号の時間波形を一括して光の強度情報に転写し,大容量の無線信号を効率よく伝送することが可能な光ファイバ無線技術「IFoF方式」を新たに開発した。

また,その周波数特性からミリ波帯の光ファイバ無線への適用が困難と考えられていたマルチモードファイバ用の強度変調-直接検波型光送受信デバイスを新たに開発し,屋内配線を想定したマルチモードファイバによるミリ波信号の伝送を実現した。

これらにより,5Gの最大レートを上回る27Gb/s 無線信号のモバイルフロントホール20km伝送と,モバイルフロントホール伝送後にミリ波無線信号をマルチモードファイバで200m中継伝送する,統合伝送実験に世界で初めて成功した。

今回開発した方式は,1本の光ファイバかつ1波長だけで大容量無線信号を伝送できるため,波長多重や空間多重を組み合わせて更なる大容量化が期待される。また,IFoF方式により,より低い周波数領域の伝送機器が使用されることになるため,省電力化が図れるとともに,アンテナ側の設備構成を簡素化できるという。

さらに,曲げに強く敷設性に優れたマルチモードファイバによる中継伝送技術は,電波不感地帯になりやすい屋内等の閉空間において有利だとする。

研究グループは今後,上り信号伝送についても研究開発および実証実験を進めていく。また,標準化活動も推進し,5GやBeyond 5G/6G向けモバイルフロントホール技術としての方式確立,実用化に向けた活動を継続するとしている。

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