佐賀大学と人工知能とロボティクスのアトラックラボ, スマート農業を推進する銀座農園は共同で,機械学習を用いたカメラのみによる人追従型収穫物搬送ロボットを開発した(ニュースリリース)。
この搬送ロボットは搭載したカメラ映像から,追従する人の大きさを機械学習により検知し,カメラから人までの距離を算出して,その距離に応じて搬送ロボットが人追従走行と停止を判断することで収穫物搬送走行が可能となった。一般的なビブスを着用した人を搬送ロボットが認識して人に追従するので,人は特殊なマーカーなどを身につける必要がない。
カメラ映像をもとに機械学習により人の大きさを検知し,距離算出に基づく人追従走行と停止を行なう制御アルゴリズムを佐賀大学が開発し,アトラックラボと銀座農園は,搬送ロボットの開発やシステム設計などを担当した。
従来,搬送ロボットが人追従走行を実現する場合は,特殊な距離計(LiDARなど)の搭載や人が特殊なマーカーを着用する必要があったが<この方式では安価なカメラなどのみで実現できるため,コスト面でも大きなアドバンテージがあるという。
開発した搬送ロボットの実証実験は,佐賀県農業試験研究センターの全実験圃場において,ブロッコリー収穫時の搬送を模擬して行なわれ,15kgの重りをカゴに載せても搬送ロボットが人追従走行と停止を確実に行なえることを検証した。
研究グループは今後,製品化を視野に入れ,コストの制限が大きい農業分野などへの展開,ライン工場内での治具搬送,倉庫内での搬送補助などに応用していくとしている。