九大ら,発光性希土類錯体のエネルギー機構解明

九州大学と北海道大学は共同で,1000億分の1秒の時間分解能で発光過程を追跡することにより,希土類金属錯体を用いた高効率有機発光体の錯体内エネルギー移動機構の解明に成功した(ニュースリリース)。

発光性希土類金属錯体は,色純度の高い発光を示すことから有機ELパネルなどの発光材料としての応用が期待されている。実用的な発光材料開発のためには高効率な錯体内エネルギー移動の実現が重要となるが,詳細な機構が不明であることが開発のボトルネックとなっていた。

これは希土類金属錯体の性質が一般の金属錯体とは大きく異なるため,エネルギー移動を伴う発光過程が非常に複雑となっていることに原因があるという。

そこで今回,独自に高時間分解能発光分光装置を改良・開発し,高効率赤色発光を示す三価ユウロピウム(Eu3+)錯体において錯体内エネルギー移動に伴い逐次的に起こる発光過程を実時間観測した。その結果,異なる速さをもつ二種類のエネルギー移動機構が存在し,これが高効率発光の起源の一つであることを見出した。

研究グループは,今回明らかになったエネルギー移動機構を基にすることで,希土類金属錯体を用いた新たな高効率有機発光材料を戦略的に設計できるようになるとして,実際に希土類有機ELを達成したいとしている。

その他関連ニュース

  • 農工大ら,劣化の一因を抑制した有機ELデバイス開発 2024年07月23日
  • ブイテク子会社,オリジナル青色有機EL材料を開発 2024年07月18日
  • SCREEN,有機ELディスプレー用塗布現像装置を発売 2024年06月26日
  • 出光と韓国SK materials JNC,有機EL材料開発で提携
    出光と韓国SK materials JNC,有機EL材料開発で提携 2024年06月25日
  • DNP,第8世代向けメタルマスク生産ラインを稼働 2024年06月13日
  • クラリベイト,有機ELデバイスで2人の受賞を発表 2024年05月22日
  • 茨城大ら,円偏光を発光するキラルな亜鉛錯体を開発 2024年05月17日
  • 出光興産舟橋氏,有機EL青色材料で紫綬褒章を受章 2024年05月08日