名市大ら,紫外線が免疫系に与える新効果を発見

名古屋市立大学と星薬科大学は,紫外線で増えた制御性T細胞が,内因性オピオイドの前駆体であるプロエンケファリンを発現し,ヒーリング機能を持っていることを明らかにした(ニュースリリース)。

紫外線は,アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚免疫疾患に対する光線療法に用いられるなど,免疫抑制効果が知られている。紫外線が身体に与える影響は多岐に渡るため,他にも有益な作用があると考えられている。

免疫系は,感染症やがんから我々の身を守るために発達した生体防御システムだが,その活性化は身体の様々な生理機能にも大きな影響を与える。制御性T細胞(regulatory T cell,Treg,Tレグ)は,免疫系のブレーキ役として過剰反応を抑え,免疫機能を正常に保つために働く細胞。これまで研究グループは,皮膚に紫外線を照射すると、制御性T細胞が平常時の約3〜5倍に増加することを明らかにしてきた。

今回,研究グループは,紫外線で皮膚で増えた制御性T細胞の遺伝子発現解析により,プロエンケファリンの他,表皮増殖因子受容体リガンドであるアンフィレグリンも高く発現していることを見出した。

紫外線で皮膚で増えた制御性T細胞は,タンパクレベルでもプロエンケファリンとアンフィレグリンを発現し,皮膚創傷治癒モデルと皮膚片培養モデルにおいて,治癒を促進する効果に関わっていることもわかった。

以上のことから,紫外線によって増えた制御性T細胞は皮膚の治癒力を高めることがわかった。この研究成果は,紫外線で皮膚で増えた制御性T細胞を利用した新たな治療法の開発に繫がるものとしている。

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