オムロンは,紫外線(UVC)光照射器を搭載した除菌ロボットを開発する世界各地のパートナー企業に,同社のモバイルロボットを提供している(ニュースリリース)。
現在,新型コロナウイルスまん延に起因して感染症拡大防止に向けた消毒や除菌,「3密」回避へのニーズが世界中で高まっている。また,世界各国の医療現場は,人手がひっ迫しているうえ,人による消毒・除菌作業は2次感染のリスクや,吸入毒性の危険性が課題となっている。
一方で,作業ムラが発生しないよう,適切な消毒・除菌を行なうことは不可欠となっており,人に代わりロボットを活用した消毒・除菌,という新しい応用分野に注目が高まるとともに,ロボット導入の拡大が見込まれている。
同社は,フランスやシンガポールをはじめ世界各国のUVC光照射器ロボットを開発するパートナー企業にモバイルロボットを提供し,UVC光照射器ロボットの展開を支援,既に10カ国以上で使用されているという。
同社のモバイルロボット「LDシリーズ」に,安全機器や制御機器を組み合わせ,UVC光を照射する場所やルート,時間を設定することで,病室や学校などの公共スペースを効率的に,安全にUVC光を自動で照射して回ることができる。
このモバイルロボットは世界中で数千台の実績があるもので,従来のAGVとは異なり,自律的に障害物を避けて走行できるため,室内のレイアウト変更などが不要。そのため,簡単に導入ができ,さまざまな領域の除菌に適しているとする。管理ソフトウェアにより,複数のモバイルロボットを施設内で自律走行させることも可能だという。
各UVC光照射器ロボットは,人体に影響のあるUVC光を作業者が扱うことなく,作業時の二次感染も防げるため,清掃員の安全確保や,労働力の確保といった課題を解決する。同社はこうした取り組みとモノづくりや医療業界,社会システム事業に携わってきた企業の社会的責任と捉え,引続きチャレンジしていくとしている。