近畿大学,日本山岳救助機構(jRO:ジロー)の研究グループは,光探索用のQRコード付き再帰性反射マーク(M-bright)を印刷した登山用小型シェルターを共同開発した(ニュースリリース)。
近畿大学の研究グループは,サーチライトを搭載した特殊な小型ドローンを使用する山岳遭難者探索システムについて研究してきた。実証実験を重ね,今年1月には六甲山スキー場で,200m先のQRコード付き再帰性反射ウェアを着用した学生を探索する実証実験にも成功している。
今回,研究グループは日本山岳救助機構と共同で,小型軽量の強力なサーチライトを搭載したドローンによる遭難者の光探索システムを実用化し,M-bright装着の小型シェルターを開発した。これによって,危険をともなう山岳遭難者の捜索を,ドローンで行なうことが可能になる。
この小型シェルター(兵庫県のファイントラック製)は,天頂部を吊り,可能であれば4隅を固定して設営する仕様になっていて,2人まで待避することができる。
また,頭を出してポンチョとしても使用可能であり,雨具の予備として,またプラス一枚の暴風防寒具としても活用できる。6月からの登山シーズンを前に,万が一の備えとして携帯してもらえるよう,登山者に広めていきたいとしている。
M-brightは,NPO法人光探索協会と日本山岳救助機構合同会社で提案しているQRコード付き再帰性反射マークの登録商標。ドローンを活用した光探索システムで山岳遭難者を捜索するためのアイテムとして開発された。
このQRコードには,光探索協会(大阪府)が付与した個別識別番号が付加されており,個人登録者の情報が管理・保管されている。したがって,ドローンを用いて山岳遭難者を捜索し,M-brightを探知することによって個人の特定が可能となる。
近畿大学の研究グループが丸仁(福井県)と共同開発したM-brightは,レインボーの反射光を放射することから,捜索用サーチライトの色を選択することによって太陽光とは異なる鮮やかな色の反射光で,認識率を大幅にアップさせることが確認されているとしている。