日本電信電話(NTT)は,IOWN構想(アイオン:Innovative Optical & Wireless Network)の実現に向けて,具体的な技術ロードマップを策定した(ニュースリリース)。
IOWNを構成する主要技術について,2021年よりリファレンス方式を順次実現し,IOWN Global Forum, Inc.(IOWN GF)での検討を加速させるとともに,パートナー企業との有効性検証を早期に実施していく。
IOWN GFホワイトペーパーで示された4つのTechnical Directionsに関連して,下記の技術開発に取り組む。(西暦はリファレンス方式の実現時期)
(1)大容量低遅延データ通信方式(Layer4/Layer3に該当する通信方式の高速化:2021年,光/無線アクセス大容量化:2023年)
オールフォトニクス・ネットワークの大容量性を最大限に活かすため,パケット伝搬遅延による最大可能データ転送レートの低下を軽減しながら,従来のTCP/IP方式と比べて大容量データの転送時間を大幅に短縮する高速Layer4/Layer3通信方式を開発する。また,これによる通信量のさらなる増大に対応するための光や無線アクセスの大容量化方式の開発にも取り組む。
(2)データセントリック型ICTインフラの実現(2021年)
コグニティブ・ファンデーションの構成要素ひとつとして,センサノードやAI分析ノードなどのノードの間の大容量データの交換・共有を低遅延に,効率的に実現するコグニティブファウンデーションデータハブ(CFデータハブ)を開発する。
(3)多地点,超高速,低遅延クラウドコンピューティングの実現(2021年)
複数のデータセンタがシームレスにまたがったクラウドコンピューティングインフラを実現するため,オールフォトニクス・ネットワーク上の通信の高速性,低遅延性を活かした高速分散コンピューティング方式を開発する。
(4)ICTインフラにおけるエネルギー効率の飛躍的向上(2023年)
コンピューティングのモジュール間,パッケージ間,チップ間のデータ伝送を段階的にこれまでの電気ベースから光ベースへと置き換えながらデータ伝送の経路を簡略化することにより大幅なエネルギー効率の向上を実現するフォトニックディスアグリゲーテッドコンピューティング技術を開発する。
今回策定したロードマップに従い,様々な技術について2021年中にリファレンス方式を策定するとともに,IOWN GFに提案して仕様整備を進めていく。また,その他のコア技術についても早期にリファレンス方式の開発を行なうとともに,ユースケースについて有効性の検証を進めるとしている。