島津,リチウムイオン電池の解析システムを発売


島津製作所は,リチウムイオン電池正極材向け化学結合状態解析システム「Xspecia(エクスペシア)」を発売した(ニュースリリース)。価格は6250万円(税込み)。

リチウムイオン電池は,主に正極材,負極材,セパレータ,電解質で構成されており,電池の高容量化や長寿命化に向けた研究開発においては,充放電に伴うリチウムイオンの移動量の変化を把握することが欠かせないという。

電池の構成部材ごとに様々な分析手法が用いられており,特に無機材料で構成される正極材については,非破壊分析という特長を持つX線が有効だとされている。現在は放射光施設での「XAFS(X線吸収微細構造)分析」や「XPS(X線光電子分光法)」が一般的であるものの,いずれの手法も場所に制約があったり,高度な専門知識を要すという。

この製品は同社独自の分光方式を採用することで,高いエネルギー分解能が得られ,従来の蛍光X線分析装置では見ることができなかった元素の化学状態変化を確認できる。この特徴を生かして,正極材となるニッケル,コバルト,マンガンおよびそれらの複合系の状態分析に対応しているという。

同社はこの製品を「正極材のリチウムイオンの移動による状態変化」を定量値(価数)で把握できる,世界で唯一の製品だとし,リチウムイオン電池の研究開発を支援することで,環境負荷の低減に寄与していくとしている。

この製品の主な特長は以下の通り。
・縦172cm,横90cm,奥行120cmという実験室に無理なく置けるサイズを実現。手軽に正極材の化学結合状態評価が行なえる。
・マンガン・コバルト・ニッケルを高い精度で同時に測定可能。わずかな化学結合状態の違いが分析でき,再現性にも優れている。
・測定条件やスペクトル,測定結果,装置状態などが一画面で表示されており,測定メニューを選び,開始ボタンをクリックすると自動的に価数が計算可能。

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