ユーグレナは,三重大学との共同研究により,メラニン生成を調節する2種類のマイクロRNA(miRNA)を発見し,これらの導入により肌細胞におけるメラニン生成が抑制されることを示唆する研究結果を確認した(ニュースリリース)。
皮膚のシミなどの色素沈着は,ホルモンの異常や紫外線,皮膚局所の炎症などにより過剰に生成されたメラニンが,皮膚内に沈着したものと考えられている。これまでも皮膚の色素沈着を予防,改善するために,メラニン生成を抑制するビタミンCを経口摂取する方法や,ビタミンC,コウジ酸,ハイドロキノンを皮膚に局所塗布する方法などが用いられてきた。
その一方で,標的遺伝子の発現を調整する機能などを有するmiRNAを利用して,メラニン生成を抑制し,シミなどの色素沈着を予防,改善する技術開発が望まれていた。研究グループは,標的遺伝子の発現を調整する機能などを有するmiRNAのメラニン生成における機能を明らかにし,化粧品等の開発などに活用することを目的として研究を行なった。
マウス由来のメラノサイトをメラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)で刺激することで,紫外線を照射した際のメラニン生成過程を再現した。そして,このメラニン生成過程を解析したところ,メラニン生成を調整する2種(miRNA-141-3pとmiRNA-200a-3p)のmiRNAを新しく発見した。また,この2種のmiRNAは,α-MSHで刺激すると細胞内でその量が減少することも示唆された。
この減少を踏まえ,人工的に作製したmiRNA-141-3pとmiRNA-200a-3pをα-MSHで刺激後の細胞内に導入することで,メラニン生成が抑制されるのかを確認した。その結果,メラニン生成が抑制されることが示唆された。
さらに,ヒトの皮膚を模倣した3次元ヒト皮膚モデルを使用して,miRNA-141-3pとmiRNA-200a-3pにより,α-MSHで刺激後のメラニン生成が抑制されるかを確認した。リポソームによりmiRNA-141-3pとmiRNA-200a-3pをそれぞれ皮膚モデルに導入し,α-MSHで刺激した培地でメラニン生成を促した。
その結果,3次元ヒト皮膚モデルにおいてもメラニンの生成が抑制されることが示唆された。これは,miRNA-141-3pとmiRNA-200a-3pにより肌細胞におけるメラニン生成が抑制され,これらのmiRNAの活用による化粧品開発の可能性が期待される結果となるものだという。
研究グループは今回の成果を,肌細胞におけるメラニン生成を抑制する化粧品の開発に活用することなどが期待されるとしている。