阪大ら,レーザーで200億気圧相当のプラズマ生成

大阪大学,広島大学,米ネバダ大学,レーザー技術総合研究所,米パデュー大学,自然科学研究機構,光産業創成大学院大学の研究グループは,世界最大級の2ペタワットのパワーを誇るLFEXレーザーを用いて,レーザー核融合エネルギーの実現に必要な高圧力に迫った(ニュースリリース)。

レーザー核融合の主流は「中心点火」方式と呼ばれ,国家プロジェクトレベルで推進されている。しかし,「中心点火」方式では,流体混合が原因で,当初の見込み通りに点火が起こらないという深刻な障壁に直面しており,未だ成功していない。

一方,国内のレーザー核融合研究は大学を中心とする学術研究であり,加えて,将来の核融合エネルギーの実現を見越して「中心点火」方式よりも小型レーザーで実現可能な,効率の良い方式の研究を探究している。この研究グループが取り組むのが,高速点火方式であり,主流に替わりうる革新的な手法として注目されている。

「高速点火」方式では,まず(1)複数のナノ秒レーザーを用いて核融合燃料を予め高密度に圧縮し,(2)ピコ秒の高強度レーザーで瞬間的に加熱することで,(3)核融合を点火し,燃料の大部分を燃焼させ,エネルギーを生み出す。

研究グループは,高速点火方式に地上最強級の磁石を導入した「磁化高速点火」の原理を2018年に実証し,加熱効率を高めることに成功した。今回の研究では,過去の成果を更に発展させ,プラズマを最大で2200万度まで加熱し,200億気圧に相当する高圧力プラズマの生成に成功した。

プラズマの加熱の過程において,圧縮された高密度核融合燃料の一部が,加熱レーザーによって直接加熱され,熱波が高速(秒速数千km)でプラズマ中に広がっていく。この熱波を走らせるためには,レーザーでプラズマを加熱し続ける必要がある。LFEXレーザーの特徴である長時間照射(それでも1兆分の1秒)が加熱の鍵であることを,コンピューターシミュレーションが明らかにした。

今回の成果は,レーザー核融合研究で最も進んでいる米国に比べて,5倍程度の効率で超高温・超高圧力のプラズマの生成に成功しており,世界一の高効率でレーザー核融合実現に向け大きく前進したことを意味するという。

また2020年からは,加熱レーザーの照射時間を更に10倍伸ばし,より高温度かつ高圧力のプラズマを生成することで,核融合エネルギーの実現へ更に迫るとしている。

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