古河電気工業は,高いビーム品質を備えた12kWファイバーレーザーを製品化した(ニュースリリース)。
近年,ファイバーレーザーによる金属加工が広く使われるようになり,加工時間の短縮や新規材料の適用が実現している。さらに,造船分野等における金属厚板の溶接工程へのレーザー適用や,自動車製造における溶接工程の高速化のため,さらなる高出力化が期待されていた。
一方で,レーザーの高出力化は一般にビーム品質の低下を招くため,加工点のパワー密度が低下し十分な加工特性が得られない場合があった。また,金属蒸気やスパッタ等が大量に発生し溶接品質が不安定化する課題もあった。
今回同社は,高いビーム品質(BPP≦3.5)を有する12kW出力ファイバーレーザーを製品化した。このレーザーで得られる高パワー密度により,各種金属に対して深溶け込み溶接や溶接速度の高速化を実現する。
また,同社が以前から開発を進めているビームモード制御技術を適用することにより,10kW超の高出力レーザーを用いた厚板溶接で課題となるスパッタ飛散の抑制,自動車用亜鉛めっき鋼板やアルミニウム合金の高速かつ高品質な溶接が可能となるという。さらに,溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も進めてきた。
同社ではさらに,今回製品化した12kWファイバーレーザーの技術をベースとして,2020年には同サイズの18kW出力ファイバーレーザーの販売を予定しているという。