山形大ら,フレキシブル有機薄膜太陽電池を実証試験

⼭形⼤学有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL),化学品メーカーのMORESCO,有機デバイス開発のイデアルスターの研究グループは,ロール・ツー・ロール印刷⽅式で作製した有機薄膜太陽電池モジュールの実証試験を開始した(ニュースリリース)。

評価に⽤いた有機薄膜太陽電池モジュールの⼤きさは,1m×0.34m で,INOELの2階の窓に8枚設置した。この太陽電池モジュールで発電した電⼒を利⽤して,⽇照量や温度,電⼒(電圧と電流)を計測し,その値を1階のディスプレーまで送信する。送信された太陽電池モジュールの実証試験の様⼦は,デモ展⽰としてINOELへの来所者全員が見られるようにしている。

この有機薄膜太陽電池モジュールは,半透明であるため窓に設置しても太陽光を遮ることが無く,プラスチックフィルムを⽤いていることから,フレキシブルで,軽く,割れないという特⻑を持っている。

また,太陽光発電⽤に普及している結晶シリコンに⽐べ,屋内での発電効率が⾼いという特⻑があるため,屋内での発電⽤途向けへの応⽤,⼈の移動や⾒守り⽤の機器など,遠隔地で計測した様々なデータを電池交換無しで送受信するシステムや,IoT向けデバイスやセンサー⽤の電⼒としての応⽤等が期待されるという。

また開発した有機薄膜太陽電池モジュールはロール・ツー・ロール印刷⽅式で作製するため,従来のシリコン系太陽電池と⽐較して製造コストが安価であり,製造から廃棄までの温暖化ガスの⽣成を⼤幅に低減できるため,よりクリーンな再⽣可能エネルギーを⽣み出すことができるとしている。

今回の実証試験では,気象データなどの計測や計測結果の通信⽤途に有機薄膜太陽電池を応⽤することで,ボタン電池の代替としての⽤途開発も併せて⾏なうという。

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