三菱電機は,高精度な地図情報が整備されていない一般道での走行や屋内・屋外を問わない無人での自動駐車など,一般道のさまざまなシーンに適用できる新たな自動運転技術を開発し,自動運転実証実験車「xAUTO(エックスオート)」に搭載した(ニュースリリース)。
今回,①高精度な地図情報無しでの自動運転,②屋内・屋外での無人自動駐車,③独自のセンサーフュージョン技術による,周辺状況の即時かつ高精度認識,と3つの技術を開発した。
①は,走行時の自車の正確な位置情報をCLAS信号により取得し,車速やヨーレートなどの車両運動の基本情報を組み合わせて分析することで自車の位置情報を補間し,センチメータ級の正確な走行ルートを記録する技術。
記録した複数の走行ルートから統計的な確からしさを考慮して1つの走行ルートを計算して「ローカルマップ」として保存し,走行時に「ローカルマップ」を用いて自動走行制御を行なうことで,住宅地・私道・農道などの高精度な地図情報が整備されていない道路でも自動運転を可能にする。
②は,駐車場の管制システムから通知される駐車位置や通行地点などの運行計画をもとに駐車位置までの最適な走行ルートを策定する技術。屋外ではCLAS信号を用いたセンチメータ級の車両位置情報,屋内では駐車場に設置したランドマークの車載カメラによる認識結果を用いて,それぞれ正確に自車位置を推定する。
正確な自車位置情報を用いて運行ルートに沿って自動走行するよう車両を制御し,屋内,屋外のそれぞれの環境において,無人での自動バレー駐車を実現する。
③は各種センサーのヒュージョン技術。自動運転の高度化に向けて,夜間や悪天候などさまざまな環境で車両周辺の状況を正確に認識するためには,ミリ波レーダーやカメラなど複数センサーの情報が必要となる。
しかし,各センサーの処理時間やデータ更新周期にばらつきがあるため,すべてのセンサーの情報を取得してから処理を行なうと認識に遅れが生じることや,更新時間が異なるデータを使用することで認識精度の誤差が拡大するなどの問題があった。
そこで,センサーから出力された各データの処理遅れ時間などを考慮し,最適なデータを組み合わせるセンサーフュージョン技術を開発した。今後車両に搭載されるセンサーが増えても,車両周辺の状況を即時かつ高精度に周辺状況を認識するという。
同社は今後,保有する鉄道や空港向け管制技術や当社独自のAI技術などを組み合わせることで,レベル4自動運転(特定条件下における完全自動運転)の実現を目指すとしている。