富士キメラ総研は,自動車業界のトレンドである「コネクテッド(Connected)」「自動運転(Autonomous)」「シェアリング&サービス(Shared)」「電動化(Electric)」に対応するためにさまざまな開発が進む「CASE」関連技術の世界市場を調査し,その結果を「2019次世代カーテクノロジーの本命予測と未来自動車像」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査ではまず,自動運転システム(新車搭載ベース)を注目市場としている。ADASはセンシングデバイスを用いて検知・警告・制御を行なうシステムで,自動運転(レベル3~5)は限定条件下もしくは無条件下で自動走行が可能なシステムを対象とした。ADASは各国で搭載義務化が段階的に進んでおり,今後搭載率はさらに上昇していくという。
自動運転システム(レベル3~5)は2017年にレベル3のシステムが初めて量産車に搭載され,2018年には1万台となった。レベル3から徐々に搭載車台数が増加し,2030年以降レベル4のシステムが普及していくとみる。
従来のADAS搭載車が自動運転システム搭載車へと移行していき,2040年には自動運転システム(レベル3~5)の新車における搭載率は29.4%になると予測する。
次に,新車搭載ベースにおけるADASおよび自動運転システムに採用される車載カメラ,ミリ波レーダーなど障害物の有無や距離の検出を行なうレーダーセンサー,赤外線レーザーを照射して広範囲にスキャンし周辺環境の3D地図を作成するLiDER,複数のセンサーを組み合わせたマルチセンサーに注目した。
ここでは,センシングデバイスはADAS市場拡大に連動して搭載車台数が増加するとみるが,単一のデバイスでは,夜間や悪天候下での検出や分解能の向上など複数のADAS機能要求に応えることが難しいため,複数を組み合わせて要求性能を達成している。
車載カメラは各地域でAEB(衝突被害軽減ブレーキ)搭載義務化が進展しており,主要エリアでの搭載率が急速に高まっているものの,単眼カメラでは位置検出が難しく,屋外で使用する際に太陽光や風雨,温度変化などにより変質や劣化が起きるため,ミリ波レーダーとの組み合わせが主流になるとみる。
2030年代になると自動運転レベル3の普及に伴い,リアカメラ,フロントカメラが必須となり,さらにサラウンドセンシングカメラの搭載率が上昇していき,2040年の新車における搭載率は79.5%と予測する。
その他,コネクテッド分野ではIVIシステムやHUD,電子ミラーなどの採用によりLCDの搭載車台数と車両1台あたりの搭載枚数が増加しているという。また,入力操作は音声認識が主流になるとみる。車外通信ネットワークと
してセルラー通信の搭載が想定され,2030年以降日本,EU,北米では標準搭載が進むとする。