大日本印刷(DNP)は,透明で水蒸気と酸素に対するバリア性に優れたフィルム「DNP透明蒸着フィルム IB-Film」のバリア性を包装用以上に高めるとともに,ディスプレー等の産業用途の各種製品に組み込むための基材として開発し,販売を強化する(ニュースリリース)。
同社は,1998年にこのフィルムの量産を開始し,これまでに食品・生活用品の包装や輸液バッグなどの医療用途に提供してきた。このフィルムは,単一素材(モノマテリアル)でリサイクル性を高めた環境対応包材などにバリア性を付与するためにも用いている。また,新たな用途として,色域が広い液晶ディスプレーとして採用が増えているQD(量子ドット)シート用のバリアフィルムとして,このフィルムが採用されている。
近年は,ディスプレー用を中心に,水蒸気や酸素を遮断するバリアフィルムとしてのニーズが拡がっていたが,フィルムが薄いため取り扱いが困難であり,機械適性や光学特性のコントロールなどが課題となっていた。
同社は今回,バリアフィルムの層構成を工夫して基材を厚くすることによって取り扱いやすくし,フィルムの表面を光学特性をコントロールしたマット(ツヤ消し)仕上げにするなど,産業用途向けに改良した。このバリアフィルムを,ディスプレー製品のほか,各種センサーやIoT機器に内蔵されるフレキシブルプリント基板の電極保護シートなど,さまざまな産業用途向けに販売していくという。
同社はこのフィルムを,各種光学フィルムへの転用やプリンテッドエレクトロニクス用基材として展開し,産業用途向けバリアフィルム関連製品で2022年度に年間100億円の売り上げを目指すとしている。