2026年,機能性電子フィルム市場は2兆2,393億円

富士キメラ総研は,車載電装化やEV市場の拡大といった自動車関連需要の高まりや,ミニLEDをはじめとする新規ディスプレーデバイスの伸長など新たなトレンドがみられる機能性エレクトロニクスフィルムの世界市場を調査し,その結果を「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,2022年は,TVやノートPC市場の停滞や在庫調整で,主な用途であるディスプレー分野においては落ち込んでいる品目がある一方,タブレット端末やノートPCで使用される蛍光体シートや電子ペーパー向けのハイバリアフィルム,通信機器やサーバー向けCPUで採用される層間絶縁フィルムなど好調な品目もみられるという。

2023年以降は,TVやノートPC市場の回復によるデバイスの需要増加,また自動車市場の回復,半導体メーカーの積極的な設備投資,各製品の高機能化ニーズの高まりなどを背景として,市場拡大を予想する。特に,5Gや6G通信への対応やIoTの普及,自動運転車の開発進展などに伴って半導体の需要が増加していき,今後は半導体分野や実装分野が大きく伸びることで,市場は拡大するとみる。

規模が大きいのはディスプレー分野であり,輝度向上フィルムや偏光板保護フィルムなどのLCD(液晶ディスプレー)関連で使用されるフィルムが中心。2022年は,前年まで巣ごもりやテレワーク需要によって好調であったディスプレーデバイスの販売が不調であり,バックライトユニットに複数枚使用される輝度向上フィルムや,偏光板の構成部材である偏光板保護フィルム,表面処理フィルムなどが落ち込んでいるという。また,過剰供給であった前年在庫の調整の影響を受けて,市場は縮小するとみる。

今後は,ディスプレーの需要回復やディスプレーパネルの大型化によってLCD関連の品目が伸びるとみる。さらに,円偏光板保護フィルムやフォルダブル用カバーシートなどOLED(有機発光ダイオード)関連の品目も需要増加が予想され,2026年の市場は2021年比8.9%増を予測する。

半導体分野は,2022年は,ノートPCやスマートフォンなどの販売不調や半導体の在庫調整がみられるものの,世界的なインフレによる価格上昇や為替の影響で,市場は前年比11.4%増を見込む。

今後は,複数のDRAMチップをTSV(シリコン貫通電極)プロセスで積層するHBMパッケージの需要増加や積層数が増えることによって,非導電性接着フィルム(NCF)が大きく伸びるとみる。また,2024年以降,シリコンウエハーメーカーによる既存ラインの設備強化が進むとみており,半導体の伸びに伴い,市場拡大が予想されるという。

同調査が注目するフイルム市場は以下の通り。

蛍光体シート【ディスプレー分野】
蛍光体をシート状にしたもので,LCDのバックライトユニットに搭載し,色再現性の向上および広色域化をする。蛍光体は,外部からの光を吸収し異なる色の光を放出するため,青色LED光の波長を緑や赤に変換する波長変換材料として採用されている。

2010年代から医療機器向けディスプレーでの採用が始まり,2021年には,デクセリアルズが発売した「PSシリーズ」が,「iPad Pro」や「MacBook Pro」の一部モデルで採用されたため市場が大きく拡大した。

現在は,タブレット端末やノートPCなど中小型向けでは,競合品であるQDシートよりも厚みやコスト面,耐久性などで優位性があるため採用が多く,2022年の市場は前年比50.0%増を見込む。しかし,大手タブレットメーカーでは,蛍光体シートが不要のOLEDへ採用ディスプレーを切り替えるとみられるほか,今後は色再現性などに優れるQDシートの採用が進むと予想する。

長期的には波長変換材料を必要とするミニLEDバックライトの採用が増加する車載ディスプレー向けが市場をけん引すると予想する。車載ディスプレーでは,色再現性などよりも,耐久性ニーズが高いため,QDシートよりも優位だとし,2026年の市場は2021年比6.0倍を予測する。

フォルダブル用カバーシート【ディスプレイ分野】
ハードコート前の透明PIフィルム原反を対象とした。フォルダブルスマートフォンやフォルダブルノートPCの最表面に使用されるカバーシートであり,高透明かつ屈曲性に優れている。

2019年頃にフォルダブルスマートフォンが発売されたことで市場が立ち上がり,フォルダブル製品の伸びに伴い市場は拡大してきた。2022年は,半導体不足やフォルダブルスマートフォンの販売が低調であったため,市場は一時的に縮小するとみる。

2023年以降は,再びフォルダブルスマートフォンが伸び,2026年の市場は2021年比90.0%増を予測する。なお,フレキシブルガラスへの需要流出が懸念されるものの,フォルダブルタブレット端末,ノートPCなど画面サイズの大きいデバイスに対しては,フォルダブル用カバーシートの使用が標準であり,これらの伸びも市場拡大につながると予想する。

ハイバリアフィルム【ディスプレイ分野】
ベースフィルムにバリア層を形成したフィルムであり,水蒸気透過率10-3g/m2・day以下で,OLED照明や電子ペーパー,色素増感型太陽電池,有機薄膜太陽電池,フレキシブルCI(G)S太陽電池用を対象とし,医薬品包装や食品包装用は対象としていない。

現状は需要のほぼ100%が電子ペーパー向けだという。電子ペーパーは消費電力面で他のディスプレーと比較して有利であることやカラータイプの品質向上によって,近年,電子棚札や電子書籍端末,サイネージなどを中心に採用が増加しているという。

2022年は,電子書籍端末の販売量が減少しているものの,電子棚札は好調であるため,市場は拡大するとみる。小売や物流分野におけるDXを実現するデバイスとして期待されているほか,省電力やペーパーレス化への貢献,目に優しいといった点も注目され,長期的には引き続き電子ペーパーの需要が増えるため,ハイバリアフィルムの使用量も増加するとみる。また,今後は太陽電池やOLED照明での採用も増加が期待され,2026年に向けて市場は拡大すると予想する。

層間絶縁フィルム【実装分野】
セミアディティブ工法(SAP工法)で製造される半導体パッケージ基板のうちビルドアップ層の層間絶縁に使用されるフィルムを対象とした。2022年は,PCの販売台数が大きく減少しているため,PC向けCPUやGPU向けは落ち込んでいるが,通信機器やサーバー向けCPUが好調であることから,市場は前年比15.0%増を見込む。

今後は,サーバーやPC,ゲーム機などの高機能化に伴うFC-BGA基板の大型化や層数増加などによって,基板1個あたりの使用量が増加するため市場拡大を予想する。また,サーバーや通信向けCPUの高機能化に伴って,低誘電グレード製品の採用が増加しているという。低誘電対応の層間絶縁フィルムは,汎用品よりも1.5倍程単価が高いことから,2026年に向けて市場は拡大するとみニュースリリースる。

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