大日本印刷(DNP)は,通信用の高感度なアンテナとして使用する,線幅1µmの金属メッシュをフィルム形状にした「超微細金属メッシュ配線フィルム」を開発した(ニュースリリース)。
スマートフォン等の通信機器でやり取りするデータ量の急速な拡大に対応するため,5Gの環境整備が進められている。この5Gに対応するスマートフォンは,2020年の商用化を目指し世界各国で開発されているが,小型化と高機能化が同時に求められる機内で,5G対応のアンテナを格納するスペース確保が難しいという課題があった。
同社は今回,長年培ってきたフォトリソグラフィ技術を活用して,スマートフォンの内部ではなく,ディスプレーに貼付しても,画面の見え方を損なわずに,アンテナとして機能する透明な超微細配線フィルムを開発した。
このフィルムは,現行のスマートフォンのアンテナと同等レベルの性能を実現するとしている。基材となるフィルム上に金属(銅)の超微細パターンを形成し,線幅を縦横各1μm(100μmピッチメッシュ)以下とすることで,目視では確認できないため,スマートフォン画面の視認性を損なわない。また,銅は他の金属に比べてシート抵抗が低いことから,超微細な線幅(1μm)でも,アンテナに適したシート抵抗(2Ω/□)を実現している。
透明なフィルムに配線を組み込んだ製品特性を活かして,次世代スマートフォンの表示画面にも貼付できるため,アンテナを機器内部に格納する必要がなくなり,機器の高機能化と小型化に対応するという。
同社は今後,このフィルムをスマートフォンメーカーなどに提供していく計画としている。