三井化学は,「新規ポリオレフィン-シリコーンブロック共重合体(イクスフォーラ®)の開発」で,日本化学会より平成30年度日本化学会の化学技術賞を受賞し,3月17日に表彰を受けた(ニュースリリース)。
化学技術賞は,日本の化学工業技術に関して,創造性と成果が特に顕著な者に対して授与される。今回の受賞は,①三井化学が持つ独自の触媒・合成技術を活用し,ポリオレフィンとシリコーンとが結合した新型ブロックポリマー「イクスフォーラ®」の製造技術開発に成功したこと②これをポリオレフィン表面改質剤として,製造販売元である三井化学ファインが用途・顧客開拓し実用化に至ったこと,この2点が評価されたことによる。
開発した製品は,ポリオレフィン材料の成形時に少量添加することで,製品の表面にシリコーン樹脂特有の特長(離型性,撥水・撥油性,耐摩耗性)を付与することができる。また,従来のシリコーン系改質剤に見られるブリードアウト,ポリオレフィン材料との非相溶性,成型性の低下などの課題を解決するという。
この製品は液晶パネルに使用される光学フィルムや住宅建材などの保護フィルム,汚れが落ちやすいシートなどに採用されているほか,食品残りが少ない包材・ボトル等に採用され,フードロス削減に貢献しているという。また,同社は開発した製品を用いて,ヘルスケア分野を中心に用途開発を加速するとしている。