オハラの低膨張ガラス,人工衛星のミラー材料に採用

オハラは,同社の極低膨張ガラスセラミックス「クリアセラムTM-Z」が,キヤノン電子の超小型人工衛星初号機に採用されたと発表した(ニュースリリース)。

この超小型人工衛星初号機「CE-SAT-I」は,2017年6月にインドの射場より打上げ,地上分解能約1mの画像取得にも成功した民間開発衛星。衛星のカメラには,効率よく明るさを確保するために集光ミラーを用いる必要があり,このミラーの材料として,この製品が使用された。

この製品は,ガラス相と結晶相の2相構造からなるガラスセラミックスで,熱膨張係数を限りなくゼロに近づけることを実現している。一般的に物質はすべて熱膨張するが,この製品は,熱膨張するガラスの中に,熱をかけると逆に縮む性質を持つ特異なナノレベルの結晶を析出させることで,ガラスの熱膨張を相殺し,ゼロ膨張特性を発現させている。過酷な宇宙環境下でも安定した,温度変化に対する形状変化が極めて小さいという。

内閣府は,2017年に公表した「宇宙産業ビジョン 2030」において,民間の役割拡大を通じて,2030年代早期に宇宙産業全体の市場規模を約2.4兆円へ倍増することを目標に掲げている。同社は,今後の発展が期待される宇宙関連産業に対して,先進材料を提供していくとしている。

その他関連ニュース

  • 東大,水氷雲からどのように雨が降るか衛星から解明 2024年12月16日
  • Neg,CO₂レーザーでビア加工できるガラス基板開発へ 2024年12月05日
  • 公大,1台のカメラで薄膜の皺の大きさを測定 2024年11月22日
  • Orbital Lasers,ESAのゼロデブリ憲章に署名 2024年10月24日
  • 三菱電機,宇宙光通信モジュールの軌道実証に成功 2024年09月30日
  • Neg,ナトリウムイオン二次電池のサンプル出荷開始 2024年08月21日
  • 京大ら,ガラスに潜む秩序を抽出して可視化に成功 2024年07月29日
  • 千葉大,エアロゾルで気候の異常を検出 2024年07月23日