紫光技研は,独自技術のプラズマ方式水銀フリー深紫外線面光源UV-SHiPLA(UVシプラ)のフレキシビリティを生かした円筒外照射型の流水殺菌モジュールを用いて,毎分20リッター(日量29トン)の紫外線流水殺菌装置を開発した(ニュースリリース)。
紫外線流水殺菌装置は,国内ではクリプトスポリジウム対策,海外では水道インフラ整備の遅れている国々での安全な水の供給に期待されている。これまで上水道施設では,水銀ランプを用いた紫外線殺菌装置が導入されており,水銀フリー化が求められている。これまでUVLED等の代替光源を用いた殺菌装置が開発されているが,市場の要望にマッチする殺菌性能,コストが課題となっている。
同社は今回,UV-LAFi技術でこれらの課題を解決できる,水銀フリーの高性能紫外線流水殺菌装置を開発した。試作した実証機で枯草菌99.9%の不活化(大腸菌換算で99.999%)を確認した。殺菌に最適な260nmブロード発光と殺菌効率の高い円筒照射の組み合わせにより,従来にないコンパクトで高性能な流水殺菌装置を実現している。
この装置は,電源入力AC100V(またはDC24V),消費電力標準100W,サイズH300×W216×D70(ホース継手部分を除く),重量2.8kg,手動または外部信号で制御する。想定する応用分野は,医療施設,介護施設のほか,水道中に残る常在菌をできるだけ減らしたい場所への適用や温泉施設での循環水の殺菌など。
同社は,短波長領域(UVC)の紫外線は,菌やウイルスのDNA,RNAを分解して不活性化するとし,薬品による殺菌のように耐性菌が発生する心配がなく,今後の応用拡大が期待できるとしている。