ナイトライドセミコンダクターは12月4日,同社ショールームがある新宿パークタワーにて記者会見を開き,新製品のUV殺菌加湿消臭器「LED PURE HH1̟+」を発表した。
一般的な加湿器には,スチーム式,超音波振動式,加湿フィルター式があるが,スチーム式はエネルギー消費量が大きく,また超音波振動式と加湿フィルター式は装置内で雑菌が繁殖しやすいという欠点がそれぞれあった。特にレジオネラ菌が繁殖すると致死率の高いレジオネラ症の原因となり,これまでも加湿器による集団感染が報告されている。
同社の加湿器は,加湿フィルター式よりも加湿性能が高い超音波振動式を採用しながら,水タンク内を深紫外LED(275nm)で殺菌することで安全性を確保している。新製品は,その加湿器に0.3μmの粒子を捕集できるHEPAフィルターと,脱臭・殺菌効果を持つ光触媒フィルターを加え,加湿と空気清浄を同時に行なえるUV殺菌加湿消臭器とした。
光触媒の活性化には365nmの近紫外LEDを用いる。水タンクの殺菌用の275nmの深紫外LEDの出力は現行製品の3.4mWから7mWと2倍にすることで殺菌能力を向上した。仙台医療センターウイルスセンターによる検証では,深紫外LEDを30分照射することによって,レジオネラ菌やバクテリア,ウイルス等を99.9%減菌・消毒することに成功したという。
また,光触媒フィルターにより消臭効果も高いとする。汗やトイレ,酢酸薬品等,あらゆる匂いに対して効果を確認しており,その効果はプラズマイオン方式やオゾン方式と比べても高く,安全性の問題もない。水を入れなければ加湿せずに空気の殺菌・消臭器として1年中使うことができる。
これからのシーズン,感染が拡大する恐れがあるインフルエンザウイルスは温度22度以上,湿度50%以上になると急激に生存率が下がるといい,「その対策には加湿が重要となる」(代表取締役社長 村本宜彦氏)という。HEPAフィルターと光触媒によりウイルスを捕獲・殺菌もできるこの製品が色句を発揮するとしている。
この製品は1月7日より発売を開始する。価格は35000円(税抜)。HEPAフィルターは消耗品(3000円程度を予定)となり,累計720時間で交換サインが点灯する。購入は専用サイトの他,ネット通販大手からも行なえる。同社では年間1万台の販売を計画している。
同社は紫外LEDメーカーとして名高いが,その応用製品の開発も積極的に行なっている。水俣条約の発効により水銀を用いた光源のLEDへの代替が期待されているが,さらに民生品に積極的に進出することで販路を拡大しようとしており,その動向が注目される。なお,新宿のショールームでは製品展示のほか,他社空気清浄機との性能比較の体験などができる。