AGCは「光とレーザーの科学技術フェア2018」にてカルコゲナイドガラスレンズと開発品のDLCコートを展示している(ブースNo.F-13 展示会HP)。
赤外線レンズは素材として主にゲルマニウム(Ge)が用いられてきているが,価格が高いという問題がある。今回同社が展示するカルコゲナイドガラスレンズはGeよりも安価ながら,Geよりも温度変化による屈折率変化が少なく,Geと同等の透過波長域を持つなどの特長がある。
同社が長年培ったガラス成形技術を活かしてプレス成型により製造しているもので,素材にはベルギー ユミコアのGASIR1を使用しており,通常のデジタルカメラのレンズ同等の精度での成形が可能。また回折形状にも対応できる。
一方,カルコゲナイドガラスは機械的強度が低いため,そのまま赤外線カメラなどに用いるとハウジングが必要になるなどの問題があるが,今回同社はカルコゲナイドガラスレンズをキズから守るDLCコートも開発品として出展している。
これにより耐湿性(TH49±2℃,95~100%RH下にて72h),密着性(セロファンテープにて引き剥がし),耐摩耗性(消しゴムにて,2.0~2.5lbsの力にて20ストローク摩耗)についてMIL規格(MIL‐C‐48497A)をクリアしており,分光特性も顧客の要望に合わせることが可能だとしている。