電子ビーム技術の業界団体であるイービームイニシャチブ(eBeam Initiative)は,第7回目となる年次調査が終了したと発表した(ニュースリリース)。
マスクメーカーを対象とした調査によると,マスク出荷量は昨年比27%の増加となり,マスク製造歩留まりは安定を保っているという結果となった。しかしながら同時に,マスクデータの準備時間や平均のマスク描画時間は昨年に比して長くなる方向である事などを要因として,最先端マスク製造のTAT(ターンアラウンドタイム:総製造時間)の短縮は進んでいないとの結果となった。
フォトマスク市場は,SEMIによると2017年では4.1%の成長と,楽観的な見方となった。調査への回答では2018年から2020年の間では年率4.1%あるいはそれ以上との予想となっている。
EUV露光に対する確信と楽観的見方が高い状態で推移する一方,マルチビームマスク露光機(MBMW)の必要性が引き続き高まっているという。最先端技術領域ではインバースリソグラフィー(ILT)が必要になるとの見方もまた増加しているとしている。
また報告として,マスクメーカー調査結果の主要点として,昨年と同じ参加10社は2017年に比して2018年の出荷量は27%増加し,また製造歩留まりは94%近くで安定しており,EUVマスクの出荷量は同じく昨年に比して2倍以上で,EUVマスクの製造歩留まりは72%まで向上した。
しかしながら,最先端マスクの製造時間短縮に進展がないことも判明。量産用マスク用として使用された最も低感度な感光材が193i露光用,EUV露光用共に多くなり,その結果マスク露光時間がより長くなったという。
昨年に比してVSB型電子ビーム露光機とレーザー露光機共に,マスク1層当たりのデータ量は平均的に増加し,一層当たり最も大きいデータは,VSB型電子ビーム露光機では2.2TBから3.2TB,レーザー露光機では30GBから240GBに増加したという。
また,回答者の95%が,2018年から2020年の間,マスク市場全体として年率4.1%あるいはそれ以上の成長率を達成すると予想。回答者の 82%が,2021年までにEUV露光が量産に使われると予想,一方回答者の1%のみがそうはならないと予想した。
EUV対応の化学線波長検査機への期待は引き続き大きくなり,検査機が出現する事は決して無いとの考えは5%と2年前の21%から大きく減少。マルチビームマスク露光機が必要だとの認識は相変わらず強く,回答者の82%がマルチビームマスク露光機は2020年末までには量産に使われると予想した。
また回答者の60%が,ILT(インバースリソグラフィ技術)は現在すでに最先端デバイスの幾つかの層で使われていると指摘。これは昨年の調査時の46%から増加したという。