富士キメラ総研は,容器・包装分野ではレンジアップ対応の耐熱容器や環境に配慮した包装に対するニーズの高まり,自動車分野では環境対応車の生産台数の増加や,ADAS・自動運転や車載ディスプレー・タッチパネルの搭載率増加などを背景に需要が増加しているプラスチックフィルム・シートの市場を調査し,その結果を「2018年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。
PE系フィルムは安価で大量生産が可能であり,主にレジ袋やごみ袋などに使用されている。市場規模は調査対象品目の中で最も大きいという(世界・国内市場とも)。国内市場は非食品の容器・包装向けが90%弱,食品の容器・包装向けが10%弱となっている。数量ベースでは中食市場の拡大によりCVSの総菜包装を中心とした食品の容器・包装向けが増加しているが,省資源を目的とするレジ袋やごみ袋の使用枚数減少で非食品の容器・包装向けが減っており,縮小が続いているという。
一方,金額ベースでも縮小が続いていたが,2018年は値上げにより前年比9.2%増の4,318億円が見込まれ,以降は横ばいを予想する。海外では日本のような包装文化はないが,経済成長とともに新興国で包装の採用が増加していくとして,世界市場は容器・包装向けを中心に年率3%台の成長を予測する。
注目市場のアクリル系フィルムは,透明性や耐候性,加工性などに優れるが,ここでは透明性を生かした光学用途を対象としている。2014年以降,ディスプレーの偏光板保護フィルムとして採用が広がった。
競合するTACフィルムより吸湿性が低く,熱による寸法変化が少ない点が評価されており,世界市場において2022年に向け最も成長率の高い品目だとしている。国内市場は中小型ディスプレイ向けを中心に堅調な拡大を続けているほか,海外市場はTVでの採用増加により大幅な拡大が期待されており,世界市場は2022年に2017年比76.9%増の405億円を予測する。
フィルム・シートの世界市場において,今後の成長率(2018年見込/2022年予測)が高いのはアクリル系フィルム(光学用),COP・COCフィルム,TPUフィルム・シートだとする。アクリル系フィルム(光学用)は偏光板保護フィルムとしての採用が増加しているという。COP・COCフィルムはLCD需要に加え,単価の高いOLED向けが増加しているとする。
フィルム・シートの国内市場の今後の成長率(2018年見込/2022年予測)が高いのはCOP・COCフィルム,生分解性プラスチックフィルム・シート,PVDFフィルムだという。COP・COCフィルムは高価格なOLED用位相差フィルムとしての採用が増加しているとしている。